駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

平成はなぜ失敗したか

2019年03月20日 | 世の中

   

 

 野口悠紀雄さんという経済学者が居る。経済学の範疇を越えて自由にものを言われる。一般にはさほど馴染みはないかもしれないが、私は三十年近く前の超整理法の時から知っており、明るくやや軽い感じはするが分かりやすいので時々読んきた。

 このほど「平成はなぜ失敗したのか」という本を幻冬舎から出された。暑苦しい幻冬舎からというのでちょっと躊躇したが、平成を丸ごと生き半世紀前の総括という拡声器の声が耳に残る世代なので、平成の総括を考えてしまう。その縁に読んでみた。

 薄々気が付いてはいたがそれほど酷かったのかという平成日本の迂闊出遅れを認識させられた。勿論、野口さんの分析総括への異論反論はあるだろうが、今の日本の閉じた出遅れた実態認識にはさほどの差はなかろう。

 野口さんは経済学者で私は市井の臨床医なので、経済に対する理解力分析力には素人と玄人で雲泥の差があるのだが、なんでこうなったかについては人間観察者として、それなりの感想を持った。どうも一見平穏な平成時代は不都合な真実から目を逸らし問題を直視せず皮相で糊塗してやり過ごしたために、気が付いたら世界から取り残され不具合に陥っているようだ。ここに至っても内に籠り視野を狭めて口先の言葉で問題から目を逸らす政権に、考える代わりに異論を叩くことで加担する人達が延る病気に罹っているように診断する。

 確かにおぞましい韓国、怪しげな中国、風前の灯火の北朝鮮を非難すれば相対的に自国の評価は上がるように感ずるけれども、日本が一番と怒鳴る人が日本を二十一番に押し下げているような気がする。何時か来た道との類似を指摘する声にも耳を傾けたい。

コメント
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