荒野の七人ではないが、医院の七人、院長と看護師三人事務三人で仕事をしている(交代勤務があるので従業員は八人)。医療というのは医師の比重が多い内科外来業務でもティームプレイの色合いが濃く、互いの連携が非常に重要である。七人の少人数でも、それぞれに個性があり多様な人物の集合体になっている。
たった十五分ばかりの面接で選別、しかも看護師の場合は売り手市場だから選ぶほどの応募がない、するわけだから、採用したら思ったのと違う人物と言うことも多い。外れというのは失礼な言い方だが、半分は予想外の人物しかもそれが半年一年経ってから分かってくることもある。
大奥の二十年選手から、新人?でも四年経っているから、現在のティームはさざ波が立つことはあっても嵐はなく上手くいっている方だと思う。勿論、院長の心にもさざ波が立つことはあり、所謂一つの我慢がないわけではない。果たしてそれが賢明な判断かどうかは分からないが、やりにくい奴あるいは困った奴と思った時に、個性を多様性と考えて受け入れるようにしてる。というのは社会人としてやってこれた人に長所のない人は居ないし、多様性は潜在能力で、同類だと出現する欠点を補うと考えているからだ。
例えばTさんは履歴を見れば予測できたのではあるが、ちょいと協調性に欠けている。本人はマイペースなのでそうした自覚が乏しい。看護師に大切な相手の気持ちを察するという能力がやや不足している。しかし、採血や検査の技術は優れコンピュータが得意で、その方面では大いに助かっている。診察に付いてもらうと非常に合理的に動いてくれるのだが、愚痴のような患者の訴えを聞く能力が不足しており、時々助け舟の欲しい私は不満を感じることがある。混んでいない時はそれでも良いのだが、混んでいる時はいらいらしてしまう。二三度注意したのだが「はい」とは返事をしても、意味が十分理解できた風ではなく、ほとんど変わらない。まあ四十過ぎの大人の性格を変えるのは無理な話だ。そう考えて受け入れている?。そういう私にも院長とはいっても欠点はいろいろあることだし。