駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

人身売買の心地

2012年08月22日 | 医療

    

 三か月待って看護師さんの補充が付かないので、ついに看護師紹介業者の電話に出てしまった。というのは当院を希望している看護師が居ると言っていますと取り次がれたからだ。ついそれはと思ったのが運のつき、背に腹は代えられず、年収二十%の紹介料を支払うことにして仮契約を結んだ。

 面接に現れた看護師に聞くと、ハローワークで当院が良さそうだと思ったが、ハローワークのミスで転勤あり(あるわけがない)となっていたので、二の足を踏んだという。ネットで親切そうな看護師紹介勧誘があったので、どんなものかなと登録したら、毎日電話攻勢でどこか思い当たる就職先はないかとしつこく聞いてきたのでつい当院を挙げたという。

 彼女は紹介業者が20%もの紹介料を取ることは知らなかったし、就職祝い金も聞いていないという。正直にこれこれの金額を業者に支払うことになると言うと「それって、人身売買じゃないですか」。・・・。「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」。と頭を下げた。なんだか、狐に抓まれたような話だ。

 生き馬の眼を抜く世の中、僅か二十回ほどの電話で何十万円かの稼ぎがあるわけだ。恐らく紹介業者の一室では数人の女性が一人当たり数十人の登録看護師を担当し毎日電話を掛けまくっているのだろう。

 いやはや、釈然としないが、大いにあり得ることなのかもしれない。

コメント (2)
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