昨年夏、収穫した苦瓜と茗荷を日干しした後味噌に漬け込んでみた。途中何度か食べて味・歯応え共いい具合であった。そのまま冷蔵庫の奥に仕舞い、思いだして雑煮のあとのお茶受けにとタッパーの蓋をあけると・・・何やら変!。そのままの形を保ってる物もあったけれど、実がふやけて箸でつつくと型崩れしそうなのもあった。兎も角全体的に柔になってしまい水洗いしたら溶けてしまいそう・・・ということで、味噌をザッと箸でこそぎそのまま食すことにした。確かに大根・人参や昆布の味噌漬は子どもの頃には食べ慣れていたが、他の味噌漬けは食べたことはなかった。苦瓜は果肉は厚いけれど繊維が少なく、短時間の漬けものには向いていても、長らくの漬込みには不向きなのかもしれない。
血圧測定を日課にしだした夫を前に、私は更に薄味にして長らくのお茶漬けである。朝から「塩分入りで粗食過ぎるよ」と、気遣ってくれる友人もいるが、起きがけの私の体は、たっぷりのお茶を要求するのだ。お茶漬けの友にも漬物は欠かせない。「茶節」にも加えてみよう。私が小~中学時代往来していた燐居の祖父母宅の味噌汁は、毎朝茶節といい鰹節に味噌を入れお茶を注いだ物だった。祖父は、枕崎の小母さんが売り歩く鰹節を毎度数本買っては、蓋つきの笊籠に入れ天井から吊るしていた。そして毎朝決って、大工さん用の「鰹節専用カンナ箱」を出しては中から鰹節とカンナを取りだし、ザッ・ザッと掻いていた。祖父母を偲ぶ際出てくるのはこシーンと音である。
一方茗荷の方は無事だった。こちらは繊維だらけの様な物だから大丈夫だったのだろう。最近和食の良さが見直されている。和食には欠かせない漬物。大根や人参など、醤油や味噌に漬け込んで置くだけで自然に旨味が生じてくる。その旨味は発酵食品である床のもつ旨味成分だ。チーズやハムも美味しいけれど、私はやっぱり「お米と漬物」が何と言っても大好きだ。
明治28年7月24日とか、鰹漁船の海難事故、男たちは海に消えた、残された女行商の売り声の哀切とたくましさよ。