昔から快眠・快食・快便は健康のバロメーターと言われている。私の実感では歳と共に、まず快眠と快便に不調が起きて一番最後にくる不調が快食のように思われる。私は健康であることにさほど執着はなく、人生100年時代が叫ばれているが、長生きしようという意欲に欠ける。
ときどき気分転換のために昼の外食に出るが、寿司・うどん・和定食がほとんどで中華・ステーキには足が向かない。肉類は我が家の料理担当者がいろいろ苦心して、夜の食卓に並ぶ。ところで最近つくづく「目刺し」をおいしいと感じた。サンマにも類似の愛着がある。
江戸の庶民もよくメザシを食べたのだろうと思う。今の物価高の中でもやはり目刺しは安い。口の中で白いご飯と内臓の苦味に塩味が溶け合って、どこか懐かしいおいしさを私は味わう。天婦羅や刺身もこのメザシのおいしさには勝てないとまで思う。
メザシは小型のイワシを塩水に浸したあとにまるごと干して作った加工食品であって魚の名称ではない。イワシの稚魚は「しらす」や「ちりめんじゃこ」と呼ばれる。鰯は沿岸性の回遊魚で群れで回遊している。日本以外にイワシを干物にして食する国があるのかどうか知りたいと思う。