玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*本来無一物

2022年09月05日 | 捨て猫の独り言

 かつてバブル時代に中野孝次の「清貧の思想」を吉本隆明が批判したことがあった。当時は吉本の真意を理解できなかったが、今ではつぎのように考えている。美しい国とか、武士道に従えとか品格を身につけろとか倫理やモラルでしばりつけて、うまくいった社会なんて歴史上一つもない。

 禅語に「本来無一物」というのがある。「空」とは有と無との両方を越えた次元を意味しているという。それはどんな次元なのだろう。実践的には身も心ももともと実体などない、と思いこむことだろう。しかし、うちのかみさんをまぼろしと思うのはむずかしい。(大谷投手11勝の日)

  

 人は思考や感情に惑わされやすい。すべてものごとはいいも悪いも好きも嫌いもなく「ただそこにあるだけ」。しかしつぎのことだけは分かる。いま執着しているものも、永遠にこだわり続けることはできない。いずれさよならする定めであること。

 断捨離が切実な年齢に達していると思う。まず目につくのは本類である。大部分は燃えるごみとして出すしかないだろうが、古書店に連絡して引き取ってもらえればそれが一番だろう。涼しくなったら連絡してみようと思う。本棚が空になったらどんな気分だろうか。

コメント
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