図書館にある内田樹の本を読んでいる。ここのところ飽きることなく何冊かたて続けに読んでいる。内田樹名義の本は100冊以上もあるというから、残された時間内で全部に目を通すことはできない。10年前に神戸に自宅兼道場を建てた。二階に住んで階段を降りるとそこは道場である。そして寺小屋のような、道場のような、コミュニティの拠点になっているはずだ。(民家の軒先で)
最初に手にしたのは養老孟子との対談本「逆立ち日本論」だった。つぎも対談本で宗教学者にして浄土真宗・如来寺の住職・釈徹宗との「現代霊性論」。そして「村上春樹にご用心」「子どもは判ってくれない」「聖地巡礼(釈徹宗との共著)」「14才の子を持つ親たちへ」「私家版・ユダヤ文化論」「日本辺境論」「いきなりはじめる浄土真宗(釈徹宗との共著)」「下流志向」「内田樹による内田樹」「他者と死者」「生きづらさについて考える」と続けて読んだ。
養老孟子との対談の中で内田はつぎのようなことを述べている。25歳の頃に二人の人物を勝手に師匠と決める。リトアニア生まれで、ホロコースト・サバイバーでユダヤ教徒のフランスの哲学者レヴィナス、もう一人は合気道の師匠の二人だ。夕方6時までレヴィナスを読んで、6時から合気道の稽古に出かけるというような生活を大学院生、助手のころ15年くらい続けていた。それから後も生活のその基本パターンは変わらない。
これまでレヴィナスが現代哲学の「他者論」の代表的人物であることなど全く知らなかった。村上春樹についてはデビュー作の「風の歌を聴け」だけで終わっていた。「村上春樹の小説のテーマって、何でしょう?」と学生に聞かれた内田教授は「気分の良いバーで飲む冷えたビールは美味い・・・。これはテーマと言えないか。それはね、ヨシオカくん《邪悪のものが存在する》と言うことだよ」と答えた。機会があれば村上春樹を読んでみる気になっている。