玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*福島からの便り

2021年05月06日 | 捨て猫の独り言

 私より6歳上の知人は何年か前から福島の山奥の「鮫川村」に住んでいた。だいぶ前の夏の日に、そこを一度だけ訪ねたことがある。その時は、水郡線(水戸ー郡山)の浅川駅まで車で迎えにきてもらった。昨年のことその彼から、住所が「西郷村真船」とだけあって郵便番号も番地も記されてないハガキが届いた。

 地図を見ると西郷村は東北本線の白河駅に近い。山奥の一軒家から街に下りたようだ。私が鮫川村を訪ねたときは事情があって一人で暮らしていた。私が黒をもち、二人で碁盤を囲んだ。囲炉裏と薪ストーブがあり、柴犬がいた。汲み取り式の便所だった。(初夏の庭)

 

 届くかどうか気になりながら、昨年の暮れに年賀状を出した。そんなことなどすっかり忘れていたこの4月の末にハガキが届いた。これは全くの推測にすぎないが、現在は奥方と二人暮らしで、おそらく不要になった車は手放しているだろう。東京の私立高校の英語教師で、演劇部担当だった。

 「さくらちってやッと人心地かな。那須の頂も雪消えて、あとはあやめなど待つばかり。ゆくを忘れてのしゃばふさぎ。街の書店茶店など散策しての日課。なかなかに人生「ムスイ」わ。あわてもんの友らそそくさと旅立ってしもうた。いそぐ旅でもあるまいに。やり残しは山ほど。たよりないのが佳い便り」

コメント
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