玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*松の木の思い出

2021年05月10日 | 捨て猫の独り言

 4月も終わろうとしている頃、松の新芽(みどり)を摘んだ。一番勢いの良い中心の芽は15㎝ほどの長さで空に向かって伸びている。中心の芽のわきに小さな2本の芽が出ている。その長く伸びた中心の芽を摘む。私としては初めての作業だった。初冬には「もみあげ」という作業もあるらしい。

 

 最近は積極的に剪定作業に参加するようになった。ベニカナメ、サルスベリ、カキ、ウメなどは、枝ぶりなど気にせずやたら切り落とす。クロガネモチは見栄えがする枝ぶりにしたいのだが、思い通りにならない。松の枝ぶりにはほとんど変化がない。庭には「見越しの松」と玄関わきの「低い松」の二本ある。

 松脂に注意しながら新芽を摘んでいるとなんともすがしいいい香りが立ちこめる。とくに玄関わきの 低い松 は枝ぶりがいい。この松は46年前にはすでにこの敷地にあった。古い木造の二階建ての下宿屋を営んでいた一人暮らしの老婦人が、余生は旅して暮らしたいと売りに出し、そのあとに私たちが移り住んだ。

 敷地はツゲの生垣で囲まれていた。大きな岩で囲まれた池があり、その池をこの松が蔽い緑濃い風雅な庭だった。老婦人は近くに間借りして暮らしておられたがまもなく亡くなられた。そのあと池は取り壊されて新しい家が建つことになる。そのとき近くの庭師さんがこの松と、さらに見越しの松を持ち込んで庭づくりをした。その庭師さんも若くして亡くなられた。

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