玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*カラマーゾフを読む

2020年02月20日 | 捨て猫の独り言

 二つの夢が登場する。アリョーシャは、イエスが最初に行った奇跡「カナの婚礼」の場に現れたゾシマ長老に「自分の仕事を始めなさい」と告げられる夢を見る。●宇宙・大地・生命が三位一体となった感覚(土壌主義)を得て「腐臭」を克服する。

 傷だらけの男ドミートリーは、乳飲み子を抱いた母親が焼け跡にたたずむ「餓鬼(がきんこ)」の夢を見る。●餓鬼(子供)に代わって罪を受けたいという自己犠牲の精神に目覚めて世界を肯定する。虐待に苦しむ子供の不幸を神が黙過として世界を否定したのはイワンだった。

 スメルジャコフはイワンに対して間接的な罪を問いつつフョードル殺害を告白し、3000ルーブルを返したのちに自殺する。●返したのは、あなたと私の関係は終わったということ。自殺はイワンとの絆は一方的な幻想に過ぎなかったという絶望のためである。(アトランタのジミー・カーター博物館にて)

 

 解説者(亀山)はカラマーゾフの兄弟には書かれなかった続編があるのだという前提で読み解くと、いろいろなことが分かってくるという。そして第二の小説を推測してみせる。自ら社会主義者を名乗る優しさと残酷さをあわせもつ少年クラソートキン。アリョーシャは大きな犠牲となって人知れず死ぬ。その後に帝政ロシアと革命ロシアの融合和解へと進むというものだ。(完)

 

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