玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*歌舞伎座

2014年11月10日 | 捨て猫の独り言

 めずらしいことに11月1日は銀座に出かけた。しかも歌舞伎の見物である。この日は吉例顔見世大歌舞伎の初日だった。25日が千穐楽だという。昼の部は午前11時開演で『寿式三番叟』のあと弁当タイムがあり、中村吉衛門の『井伊大老』そして松本幸四郎の『熊谷陣屋』と続いた。私は3階のA席だったが、ここでは健常者でもセリフが聞こえにくいようであった。

 この見物は偶然の誘いに便乗したものだ。演目について下調べをしておいたのはせめてもの救いだった。私は役者の演技に集中することよりも、双眼鏡で劇場全体を見渡すことに専念した。囃子方(はやしかた)や黒衣(くろこ)や役者の足取りに合わせて板を打ち付けている「付け拍子木」などに双眼鏡の焦点を合わせる。タイミングのよい掛け声の主の所在は最後まで分らなかった。

 

 毎度のことだが「大向こう」いついてあとで調べた。3階の奥に仕切られた一幕見の席だ。この席は常連の芝居通が通う席として知られている。「大向こうグループ」と呼ばれる掛け声をかける役目の団体が活躍している。歌舞伎座の「一幕見席」は4階にあり当日券かつ自由席で約150名が入場できる。繰り返し見たい客や、初めて歌舞伎を観る客のほか外国人観光客も多いという。 

 歌舞伎座タワーは地下4階地上29階建だ。地下鉄東銀座駅と直結している地下広場「木挽町広場」には切符売り場や弁当売り場やシンボルの巨大提灯がある。タワーは5階のみ一般に公開され、ギャラリー(有料)や石燈籠の展示されている屋上庭園(無料)がある。劇場外のこれらには今回は立ち寄らなかった。11月の顔見世の象徴として劇場正面の破風の上に青い布で囲まれた櫓(やぐら)が上がっていた。

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