玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*18きっぷと甲子園

2010年08月23日 | 捨て猫の独り言

 夏の全国高校野球大会の試合を観戦することになった。日程が順調ならばその日は決勝戦である。前日は甲子園球場の近くに住む友人宅に泊めてもらうことにした。行くなら「青春18きっぷ」で行くのがふさわしいとなぜか思ってしまった。東京から大阪まで約9時間かかる。こんな贅沢な時間の使い方があるのだ。準決勝第一試合を甲子園に向かう普通列車の中で安物のラジオで雑音に悩まされながら聞いた。携帯電話の画面でテレビ放送を観ることができるという時代に携帯を持たぬ自分をいじらしいと思った。ともあれ沖縄の興南が報徳学園に逆転勝ちしたので私の気分は高まるばかりだった。決勝戦の相手は成田を破った東海大相模である。

 甲子園球場に足を踏み入れてみて高校野球を愛する人の数やその熱意は大変なものだということをあらためて認識することになった。バックネット裏席、内野席、アルプス席、外野席の料金はそれぞれ1600円、1200円、500円、0円である。1600円の入場券を求めて友人は5時起きして並んだ。10時開門が8時35分に早められた。8時頃には徹夜組94人を含む5650人が並んだための大会本部の処置だという。4年前に4000人が並び開門が8時50分というのがこれまでの記録だという。それでも首尾よくバックネット裏のNHK放送席の真横という絶好の席を確保することができた。

 試合開始まで4時間もあったが退屈はしなかった。興南の一塁側アルプス席はオレンジのスクールカラーで早めに埋まってゆく。選手のベンチ入りは約1時間前だがこれも興南の18人の方がかなり早かった。気付くと球場は満員の観客で埋め尽くされていた。いつの間にやら潮が満ちていることに気付いた時の驚きと同じである。試合は3回まで堂々たるプレーの応酬で両チームに風格さえ感じたものだが、東海大相模は4回裏にスクイズを見破りながら送球ミスが出たのを契機に大量失点をしてしまう。興南の春夏連覇の偉業が達成された。作新学院、中京商、簑島、PL学園、横浜についで6校目である。

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 閉会式前に一塁側アルプス席あたりからウエーブが始まった。そこからバックネット側へ、そして敗れた三塁側アルプス席の観客も立ち上がりウエーブが続くとそれを見た一塁側からは大きな拍手歓声が起きる。そして外野席側を巻き込み球場内を一巡する。それはいつ止むともなく続き三巡目が終わりかける頃に鼓笛隊の入場でやっとウエーブが終った。閉会式の最後に両チームが場内を一周し、大会歌「栄冠は君に輝く」の歌詞がバックスクリーンに表示され、それを見ながら観客も唱和する。その歌詞の2番は「風を打ち大地を蹴りて くゆるなき白熱の力ぞ技ぞ 若人よいざ一球に一打にかけて 青春の賛歌を綴れ ああ栄冠は君に輝く」である。閉会式で聞く大会歌はまた格別である。

コメント (1)
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