荒川は埼玉県中央部を貫流して東京湾に流れ込んでいます。その源は奥秩父にあり秩父盆地を縦断し、途中奇勝長瀞を作り出しています。西武秩父駅を降りて先ず目につくのが武甲山です。その武甲山の向かい側に荒川を挟んで小鹿野町側には長尾根丘陵があります。秩父ミューズパークは荒川の河岸段丘である長尾根丘陵の上に造られています。荒川は谷が深くミューズパークの丘陵側からは、ほとんど水面を見ることができません。
平地でも冷え込みが厳しいと予報があった11月3日に秩父ミューズパークに出かけました。今回の秩父行きは、パークにはよく車で出かけて散歩すると言っていた秩父在住の知人には連絡しませんでした。秩父駅前からミューズパーク循環バスぐるりん号が左回り始発8:30、右回り始発9:25と交互にほぼ1時間おきに出ています。10:32の左回りのバスは先ず荒川にかかる秩父公園橋を渡ります。この橋はケーブル240本に支えられる斜張橋で巨大なハープのように見えます。橋を渡るとバスはうなりをあげて急坂をかなりのスピードで蛇行し登り続けました。この大胆な運転ぶりは秩父のもののふの末裔ではなかろうかと思わせるものでした。
札所23番音楽寺のつぎのバス停から、続く6つのバス停のどこで降りてもそこはパークです。ほぼバス停毎にパークを訪れる人たちのために無料駐車場が併設されているようです。スポーツの森、文化の森、音楽の森のエリアからなる広大なパークは出入り自由で無料です。パーク沿いにバスからその全貌を眺めつつ一方の端の 「パーク南口」 まで行くことにしました。スカイロードは約3㎞のイチョウ並木の遊歩道です。尾根にあるので街並みを見下ろし、四方に山並みを見渡しながら歩きます。ところでイチョウの木はどれも若木で、落ちている実も小粒でした。中には見頃を過ぎてほとんど落葉した木もありました。しかし陽射しが出て気温も上がり約500本の黄葉のトンネルの散策は快適でした。
途中スカイロードから離れて展望台に立ち寄ってみました。そこからは中央に武甲山がひかえ、左から右へ横瀬から三峰方面までの山並みが一望でき、秩父市街が眼下に広がります。知人の家は先ほど渡ったハープ橋のたもとの市街地側にありますす。そのあたりを見下ろしながら、知人に駅の近くで食事するならどの店がお薦めか聞いておけばよかったと悔やみました。明治17年(1884年)10月31日~11月9日生糸価格の大暴落という背景の中で秩父の農民の武装蜂起事件がありました。この丘陵にある音楽寺は大宮郷(今の市街地)への出撃拠点でした。115年まえちょうどこの季節この場所での出来事です。(上の写真は中央に武甲山)