Various Topics 2

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アルフレッド・アドラー

2011年01月28日 | 人物

「有名な心理学者の名前を一名あげなさい」という質問をしたとしたら、多分フロイト(Sigmund Freud18561939)の名前が一番多く回答され、二番目にはユング(Carl Gustav Jung18751961)あたりがでてくるのではないでしょうか。

フロイトと同じくオーストリア人でユダヤ人心理学者でもあったアルフレッド・アドラー(Alfred Adler,1870-1937)については日本ではほとんど話題になることはないと思いますが、彼の業績や研究は、フロイトやユングを凌ぐのではないか、と私は個人的には思っています。

彼の研究の一つに『共同体感覚』というものがあります。

以下のウィキペディアからの抜粋:

共同体感覚について、まったく初めての人に説明することは難しい。それは、ちょうど、実際に、自転車もなく、また、自転車に乗ったこともない人に、自転車に乗るということについて説明するようなことだからである。

共同体感覚が発達している人は、自分の利益のためだけに行動するのではなく、自分の行動がより大きな共同体のためにもなるように行動する。なぜなら、人間は社会という網の目の中に組み込まれている(Social Embeddedness)からである。それに対して、共同体感覚が未熟な人は、自分の行動の結末や影響を予測することをやめて、自分の利益だけしか目に入らないようにする。

仮に、極端に自分の利益のことだけにしか関心がない人がいるとしたら、その人は自分の利益になる場合にだけ、他人と協力する/他人を利用しようとするだろうと想像される。そうすると、他人が自分を必要とする場合というのは、他人がその人自身の利益になる場合にだけということになり、安心して所属することが難しくなるだろう。

このようにして、共同体感覚の未熟な人は、所属に問題を抱えやすく、不幸な人生を送ることになりやすいことになる。

共同体感覚について、アドラーは、「共同体感覚は、生まれつき備わった潜在的な可能性で、意識して育成されなければならない。」と述べている。それは、ちょうど自転車に乗れるようになる練習と同じことである。

自転車に乗れるようになるためには、実際に、自転車に乗って練習しなければならない。最初は、うまく乗れずに転んだりして失敗を繰り返すだろう。しかし、そのようにして練習をしていくうちに、特別に意識することなく自転車に乗れるようになるだろう。

同様に、共同体感覚を成長させるということは、共同体感覚とは何だろうと机上で考えることではなく、自分の行動ひとつひとつについて、「こうすることは、自分の利益ばかりでなく、相手のためにもなるだろうか。」「こうすることは、自分と相手の利益になるが、それはもっと大きいな共同体にとってはどうだろうか。」と、より大きな共同体のためになる方向を選択することである。

『共同体』と聞くと「『個』を殺す」や、「仲間、仲間以外という分類の世界」を思い描くことが多いでしょうが、『共同体感覚』というものは、突き詰めていけば、「自分を愛し、自分以外の人間(生き物)の価値観・意見を認め、理解し思いやることから得られる感覚」「人から一方的に与えられること(利害関係から理解や愛情まで)を期待しているだけでは得ることが難しい感覚」であると思います。

先日、友人Nと話をしていたとき、彼と彼のお子さん達が通ったカソリック系幼稚園(別に彼らはクリスチャンにあらず)の入口に書いてあった評語「人を大切にすること、自然を大切にすること、神を大切にすること、それは自分を大切にすること」が話題になりましたが、まあ、これも上記とほぼ同じことです。

アドラーの理論は、他のもとっつきやすいものばかりだと思いますので、ちょっと本屋や図書館で彼の本を探してみてください。

心理学の本が面倒なら、創元社の『アドラーの思い出』という、アドラーを知る人達の証言がありますので、こちらからでも。

アドラーですが、彼は彼の理論を別の人があたかも自分の理論のように借用されても怒ることもなく、逆に「理論を人に広めてもらって嬉しい」と喜んだといいます。

彼がフロイトやユングより有名でないのは、アドラーが彼らより劣っていたからではなく、(彼の弟子が戦争で亡くなったりしたことや彼自身が短命であったこともあるでしょうが、)彼が名声・名誉よりも『人類や社会のためにする実績』に興味があったせいではないでしょうか。

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