先日夫と隣町のショッピングセンターに行きました。
このショッピングセンターの入り口近くにはペットショップがあるのですが、ショーケースの中で、5匹ほどの小型犬の赤ちゃんが遊んでいるのが見えたので、ちょっとのぞきにいきました。
おそらく生後2か月くらいの仔犬たち-隣にいた仔犬にちょっかいを出して反撃されて逃げる仔犬、ちょっかいを出されてまったく関係のない仔犬を踏んずけたり、甘噛みをしたりする仔犬、頭を踏みつけられても知らん顔の仔犬、噛まれてシュンとするおとなしそうな仔犬、他の4匹と離れてずっと隅っこにいる仔犬。
こんなおもちゃみたいな仔犬たちも、性格もはっきりし、5匹の社会が出来上がっています。
このペットショップは、(外からしかみていませんが、)ケージも広め、清潔そうで、犬たちにとっては平均より居心地がよさそうに思えました。
「最初にちょっかいを出したのはヨークシャーテリアでしょ。それに刺激されて攻撃的になったのは、パピヨン?」
夫にそう言いながら、犬のプロフィールと値段を書いた紙を見ると・・・ヨークシャーテリア以外は皆、ミックス犬と書かれて、それぞれの親の種類が書かれていました。
そして値段は・・・・攻撃的になってしまった仔犬はロングコートチワワとミニチュアダックスフントのミックスで20万円台半ば。シュンとしたおとなしい仔犬はトイプードルとマルチーズのミックスで40万円台前半。
ミックス犬の存在は知っていましたが、これがここまでメジャーになってきていていたとは・・・。
店頭に並ぶミックス犬は器量が良い仔犬ばかりが選ばれます。表にはでてきませんが、実際は器量が悪かったり、不健康な犬(つまりブリーダーにしてみれば「失敗作」)も生まれていているようですが、彼らはおそらく殺傷処分か、動物実験行きでしょう。品種改良で失敗作の農作物を捨てるのと同じ感覚で。
なお、ミックス犬はアメリカでは、「デザイナードッグ」と呼ばれているようですが、日本でもそう呼んだ方が良いのではないでしょうか。
購入者のほとんどは普通の雑種(ミックス)の仔犬には見向きもしないでしょうから。
ニューズウィーク(2009年5月21日)
量産されるデザイナードッグの悲劇
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2009/05/post-137_1.php
(前略)
いもしない完璧な犬を求める風潮
本誌が取材した飼育場の大半は、交配種の犬を販売していた。専門家によると、パピーミルで育てられた犬の約20%がデザイナードッグだ。なかでも人気が高いのは、パグルやラブラドゥードル、ヨーキープー(ヨークシャーテリアとプードルの交配種)だという。
デザイナードッグは、親となる2匹にかかるコストよりもはるかに高い値が付くことがある。例えば1匹50ドルのビーグルと800ドルのパグを掛け合わせたパグルは、1匹1000ドル近くで売れる。
オスのパグ1匹とメスのビーグル4匹を飼えば、ビーグルは平均6匹の子犬を年に2回出産するから、毎年48匹のパグルを「生産」できる。「ただに等しい2つの材料から、これほど高価な商品が生まれる事業はほかにない」と、デザイナードッグに関する著書があるキャロライン・コイルは言う。
デザイナードッグが人気なのは、「交配種の犬は2つの犬種のいいところを受け継ぐ」と消費者が信じ込まされているためだ。
「欠点のない犬を欲しがるような人に受けている。しつけが行き届き、抜け毛もなく、まったく健康という完璧な犬を求める風潮に取り入っている」と、ラブラドルレトリバー・クラブの理事で獣医のフランシス・スミスは言う。「もちろん、そんな動物がいるはずはないのだが」
一部の交配種は何十年も前から存在するが、今は悪徳ブリーダーが手当たり次第に新種をつくり出している。「彼らは『お望みならどんな犬でもつくれます』と言うが、ペンキを混ぜ合わせるようなわけにはいかない」と、メインライン・アニマル・レスキューのスミスは言う。
(後略)
参考:
『日本のペット事情』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/7cd1796cea8ea8dee02b3953bcea5df9