Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

IAEAという国際機関

2013年06月21日 | 原発・核・311

記事の紹介をし忘れていたものがあったので、リンクを貼り付けます。

ルモンドディプロマティーク (201212月)

国際原子力機関IAEAの迷走

独立性には程遠い原子力産業の憲兵

アニェス・シナイ女史の調査報告

ジャーナリスト、新・人類学モメンタム研究所、共同設立者

http://www.diplo.jp/articles12/1212iaea.html

(前略)

IAEAのスローガン「原子力の平和利用」

 IAEAの憲章第2条には機関の目的が記されている。「本機関は、原子力が全世界における平和、健康及び繁栄に資するべく努める。本機関は、本機関みずからによって提供された援助、あるいは本機関の要請・監視・管理のもとで提供された援助が、軍事目的に利用されないように可能な限り努める」。財源は、その国の原子力利用度や外交上のかけひきに応じて徴収される。IAEA発足の契機になったのは、1953年、アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーによる国際連合総会演説「原子力の平和利用」である。アイゼンハワーは、この演説の中で「この最強の破壊力は、人類にとって最高の福音に転じることができる」と述べた。

 「原子力の平和利用」という考え方は、IAEAのスローガンとなった。広島・長崎の恐怖を覆い隠そうとするもので、前提として、原子力の平和利用と軍事利用とは別のものだとする。ジョセフ・ロートブラット教授は、19458月広島原爆投下以前にマンハッタン計画(人類最初の原爆製造に至った研究プログラムの暗号名)から手を引いた、たった一人の物理学者であるが、当時次のように注意を喚起していた「原子力の利用は、民需でも軍需でも、ウランを原料とすれば必ずプルトリウムが発生するので、それは核武装の原料になるのです。最後には文明が破壊されるか、あるいは核分裂を基礎とする原子力は放棄しなければならなくなるかのどちらかとなるでしょう」(注2)。

ジャーナリストを締め出すIAEA

 IAEAの創立は1957年である。当時の技術者たちは、電気が豊富にできて「計量する必要がないほど安い」と言われるような時代の到来を夢見た。「夢の原子時代」実現のためにIAEAに委ねられたのは、すべての国がこの「有徳のエネルギー」の恩恵を享受できることを保証し、同時に地球全体の軍縮に寄与することであった。2012年度のIAEA予算は、全部門で33300万ユーロであり、ウィーン市警の年度予算に等しく、放射性物質の不正使用に目を光らせるために使用された。IAEAの職員は2200人、そのうち約250人が原子力査察官である。原子力査察の仕事は、IAEAの活動の一部門でしかない。したがって、業務全体からすれば、原子力査察の手段は脆弱であるということになる。その内訳は、31か国の稼動中の原子炉429基、休止中の145基(注3)の状況把握、核保有国の再処理施設内にあったり、原子炉に隣接して貯蔵されたりする約4220万立方メートルの放射性廃棄物(注5)や、そのうち388000立方メートルの高レベル廃棄物(注4)の監視業務もある。

 理屈から言えば、IAEAは原子力の安全に関する世界基準を決めている。放射線の危険から人間を守ること、原子力事故を未然に防ぐこと、緊急出動を想定・準備することである。しかし、規約上、締結国のさまざまな意向を無視できないため、基準の範囲は、合意可能な最低共通項にとどめねばならない。原子力の提唱者たちは、情報の透明性を保障し、大衆へ情報公開する必要性を理解しているのだろうか? なんと、ジャーナリストたちは、討論の際に会議場からの退出を要求される事態が起きているのだ。

放火犯を消防署員に

 たしかに、原発の安全性を監視する原子力監査官の独立性は重視されている。しかし、原発の安全性の構築に当たって、監査する側と監査される側には複雑な関係があることは言うまでもない。アメリカ・エネルギー省副長官ダニエル・ポネマン氏は「原子力発電企業と国際的原子力産業が、事故の予防と事故処理の課程で中心的役割を演じ続けようとしている(注6)」と評価する。

 それというのも、国連の中ではIAEAは例外的な組織であって、国連の他のどの機関も、これほどまでに関連産業界と密接な関係を持っている機関はない。IAEAでは多くの場合、原子力産業の利害の思惑が、産業の規制基準作りに優先し、規制基準は販売を考慮して作られる。それに「原子力技術がもっとも進んだ」国々だけがIAEA事務局メンバーになれる資格を与えられているのだ。IAEA事務局メンバーの中でも、フランスは要所を押さえている。IAEAの原子力安全部門はフィリップ・ジャメ氏の後任、ドゥニ・フロリ氏の手に委ねられている。ジャメ氏は、フランス原子力安全局(ASN)の委員になった。世界原子力発電事業者協会(WANO)は、ロラン・ストリッカー氏が会長を務めている。氏は、フランス電力会社(EDF)でずっと働いてきた人物である。アンドレ=クロード・ラコスト氏は西ヨーロッパ原子力規制委員会(WENRA)を率いてきたが、同時に昨年の1212日まで、フランス原子力安全局委員長としてパリで勤務していた。

(中略)

WHOIAEAの癒着

 実際WHOIAEAは、1959年に始まる特別な協定[「WHA 世界保健総会決議 12-40協定」― 訳注 ]によって緊密な関係を保っている。グループ《WHOの独立性を進める会》によると、なぜWHOがチェルノブイリや福島の原発事故を重要視しなかったのか、また、人々の健康を守るという重要問題にたいして、不思議なことに、なぜWHOは消極的なのかが、この協定で説明がつくという。この25年間「チェルノブイリの汚染地区にたいして、しかるべき社会・医学的政策はまったく実施されなかった」。そして「核保有国では、疫学的研究がほとんどなされていないか、まったく行われていない」(注11)。

 原子力に関するリスク情報は、公式見解から除外されているために、混乱の極みに達している。原発事故の責任者の処罰は、未だに行われていない。

最近元CIA職員エドワード・スノーデンが、米国政府の盗聴についての告発をしていますが(今までも告発は彼以外からもあり)、米政府もそれに加担していた英政府をはじめ、世界では皆あまり気にしません。

もちろん盗聴などは内部のものが改めて告発するまでもなく、わかりきっていたことでもありますが、「ロシアや中国の盗聴は悪」、「米国や西側諸国の盗聴は仕方がないこと」というダブルスタンダードがまかりとおっているから、あまり大きな問題にならないということもあるかもしれません。

ダブルスタンダード-IAEAはダブルスタンダードや偽善ぶりのみならず、国際機関に似つかわしくないその横暴ぶりも良く知られたことですが、それはずっと変わらないです。

それは皆が「仕方がないこと」と消極的に認めている(もしくは麻痺)からではなく、『これをありがたがっている国』(二度の原爆投下、原発事故があった日本などがこれを支持するのは恥知らず)があるからでしょう。

米国人の友人が、「スーパーマンは、もともとはドイツと日本を悪にするためのプロパガンダ漫画」と言っていたことがありました。

時代によって、その「悪役」はロシアだったり、中国だったり、イラク、イラン・・・。

決して悪役にならない国や、こうした国際機関こそ、本当は怖いのかもしれません。

コメント
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