新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

ベン・シャーンが描く手と足

2009-04-27 20:21:50 | 美術館・博物館・アート

何の脈絡もありませんが、今日は画家ベン・シャーンの話です。

   

私が初めてベン・シャーンの絵を見たのは小学生の時でした。図工の教科書に載っていた「When the Saints...」だったと記憶しています。小学校の図工の教科書に載っていた絵の中で記憶に残っているのは、「When the Saints...」と、ブリューゲルの「雪中の狩人」だけですので、当時の私にとって、よほど印象が強烈だったんですね。ただ、「When the Saints...」を見た感想は、「何でこんなヘタくそな絵が教科書に載ってんだ?」というものでしたが…

   

その後、成長の過程(?)で、ベン・シャーンの絵を何度か見て、「ヘタくそ」の印象は薄れていきましたが、ベン・シャーンに対するイメージを徹底的に変えたのが、上野で開催された「MOMA展」で見たこの作品でした。

Shahn02

Silent Music」です。線だけで描かれたパイプ椅子と譜面台。
しばらくこの絵の前に立ち止まり、目に見える「静寂」と聞こえない「を楽しみましたです。
以降、ベン・シャーンの画集を買ったり、展覧会に出品されていればじっくりと鑑賞したりと、どんどんベン・シャーンが好きになっていきました。
   
P1050214 そんなもんで、3年前の早春に、私のホーム美術館とも言える(会員になってます)埼玉県立近代美術館で「ベン・シャーン展」が開催された時は狂喜乱舞の一歩手前でした。展覧会の中味も良かったぁ~。
ごくごく初期の油彩の風景画から始まって、社会的かつ政治的な作品群、ビキニ環礁での水爆実験で日本の漁船被爆した「第五福竜丸事件」をモチーフにした「Lucky Dragon」シリーズ、などなど、ホント、見応えのある展覧会でした。
右の写真は、この展覧会のチラシ(A3を二つ折りにしたもの)を広げて、パネルに入れたもので、我が家の廊下に掛けています。
   
さて、ベン・シャーンが描く絵の大きな特徴は、東洋の筆を使って書いたかのような独特の「」(イラストレーターの山藤章二さんは、ベン・シャーンが大好きで、かなり影響を受けた、という話を聞いたことがあります。確かに二人の線のタッチは似ています)に加えて、人物像のプロポーションに比べて「手」と「足」が極端に大きいことだと思っています。
例えばこの絵。第五福竜丸事件の被害者・久保山愛吉さんが子どもを抱いている絵(習作)です。
Shahn01 この絵に限らず、ベン・シャーンが描く大きな手は、掴んだ(掴みかけた)幸せを決して手放さないという強い意志を示しているようです。また、大きな足(こちらの例は省略)は、大地を踏みしめて生きていく意志を示しているように見えます。
サッコ&バンゼッティ事件を描いた有名なシリーズも含め、幸せを求める意志と、どんな不幸や差別があったとしても生き続ける意志が、ベン・シャーンの一貫したテーマだったのだと、私は感じています。

   

あ、そうだ

今回紹介したベン・シャーンの作品は、どれも「線画」ですが、彼はdrawingだけでなく、paintingも描いていますので、誤解なきよう

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2 コメント

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自分のブログで線画(ペン)をやっています。車内... (sei)
2011-05-07 23:37:04
自分のブログで線画(ペン)をやっています。車内の様々なワンショットを2駅か、3駅行くまでの間に、魅力を感じとれたら、いいのですが・・・・。顔の表情もさることながら、手も大きなアイテムです。最近、ベン・シャーンの手を見掛けたことがあり、古書店で、探しています。今後ともよろしくお願い致します。
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seiさん、ようこそいらっしゃいました。 (徒然煙草)
2011-05-08 06:42:40
seiさん、ようこそいらっしゃいました。


ブログを拝見しました。
絵心のある方がホントうらやましいです。
私は、絵が(絵も?)空っ下手なもので、ひたすら鑑賞するだけです[E:weep]


「ベン・シャーンの手」といえば、以前買ってきたメモパッド(記事へのリンクをはりました)は、もったいなくて、一度も使っていません。
そして、「いつか現地に行ってみたいと思っています」と書いた福島県立美術館にも行っていませんし…。


なんだか急にベン・シャーンの絵を観たくなってきました[E:annoy]
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