「お城と温泉の四国旅行記」シリーズの途中ですが、ちょっと寄り道…。
自宅のキッチンに下げているJALのアート・カレンダー、今月の作品は、、、
東京国立博物館(トーハク)所蔵の「洛中洛外図屏風 舟木本」(部分)です。
今月の作品が「洛中洛外図屏風 舟木本」だというのは、意図してのことなのでしょうか?
というのも、東京国立博物館(トーハク)では(相変わらず、「トーハク」という表記がケーハクに思えて抵抗があります)今月8日から特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」が開催中なのですよ。
で、先週土曜日にトーハクに行ってきました。
トーハクに行くのは約2ヶ月ぶり。こちらで書いたように、東京国立博物館パスポートの特別展スタンプ欄が満杯になっていましたので、買い替えての入場です。
この展覧会、入口でいつものように出展目録を手に入れて、アレ?
いつもなら、A3二つ折りの出展目録が日本語版と英語版の2種類用意されているのですが、この展覧会は、A4サイズの1枚ものだけ…。日本語版と英語版の両面印刷です。
日本最大級の規模を誇るトーハクの平成館2階をフルに使う特別展だというのに、展示作品数はこれだけ?
しかも、展示替えも含めてA4サイズ1枚…。
実際、展示作品が少ないとは感じましたが、それを補うだけの濃さはあったと思います。
もっとも、「売り」の一つ、「次世代高画質映像4Kで撮影した(龍安寺の)石庭の四季をパノラマ・スクリーンで投影します」というのは、確かにデカい画面で、とてつもなくきれいでしたが、所詮、2D映像ですから、あれだけのスペースと大仕掛けの設営(トーハク得意のスロープ付き)を使ってまで見せる意味があるのだろうかと疑問に思いました。
まぁ、「日本テレビ開局60年 特別美術展」の冠付きの展覧会ですから、「日テレの技術をお見せしよう」という意図なんでしょうな…
どうせ映像を使うのならば、展覧会の初っぱなの、「『洛中洛外図屏風 舟木本』を4×4mのスクリーン4基に拡大投影。緻密に描かれた街並みや風俗の細部に迫ります」のように、屏風を高精細度でデジタル化した画像を大アップして見せてくれる方が、ずっとインパクトがあるし、屏風の現物を拝見するまでのプロローグとして面白かったと思います。
それにしても、あれだけの大アップに耐えられる緻密な描写、スゴいものです
ちなみにこちらは、2011年3月に龍安寺石庭で撮った写真です(記事はこちら)。
「京都でも見ることができない京都。」を標榜するこの「京都―洛中洛外図と障壁画の美」、何がスゴいって、国宝または重要文化財に指定されている洛中洛外図屏風7点が前・後期に分けて展示されるということでしょう。
私が観た前期(11月4日まで)では舟木本(全会期中の展示)のほか、上杉本、歴博乙本、勝興寺本が、後期(11月6日~12月1日)では舟木本、歴博甲本、福岡市博本、池田本がそれぞれ展示される由。
舟木本に向き合うように、何気なく展示されている国宝「洛中洛外図屏風 上杉本」を観た時には、ホント、感激しました
所蔵している米沢市上杉博物館でもめったに観られないという噂の「洛中洛外図屏風 上杉本」(狩野永徳筆)を間近に観られるこの幸福感
当然ながら、「京都―洛中洛外図と障壁画の美」の展示品は撮影禁止ですが、トーハクの総合文化展(常設展)でも、作者不詳の洛中洛外図が展示されておりまして、こちらは撮影可です。
この「京都―洛中洛外図と障壁画の美」で妙に心に染みたのは、後水尾天皇の御所の紫宸殿に立てられていたという「賢聖障子絵」でした。
図録から引用しますと、
紫宸殿の母屋の周囲には廂の間が設けられ、母屋と北廂との境に立てられる障子には、中央の間とよばれる場所に一対の松と、魔除けの獅子狛犬が配置されて、その上に瑞兆をあらわす神意を負った亀、その左右に中国古代の賢人聖人たちが描かれた。(中略)醍醐天皇の御世である延喜年間(901~923)にはすでに描かれていたという伝統の画題である。
だそうで、現在の京都御所紫宸殿にも「賢聖障子絵」が並んでいる由。
今、日中間はぎくしゃくしていて、中国は中国で深刻な国内事情を抱えています。
日本人が、君主の理想として中国古代の賢人聖人たちを敬い、その伝統が今に引き継がれていることを知ったら、中国の愛国青年たちはどんな感想を持つのでしょうか?
また、理想の人物として敬われるような人が現代の中国にいるのか…
そんなことを考えてしまいました。
ということで(?)、龍安寺と二条城の障壁画のお話はまた後日
つづき:2013/10/22 京都でも見ることができない京都。(後編)
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