北川和彦「音訳・点訳奉仕員研修会テキスト―読み方調べのために―」という本を買う。
点訳に役立つかどうかはともかく、人名や地名、漢字の読み方の雑学としておもしろい。
漢字の読みに「慣用読み」というのがあって、堪能「かんのう」→「たんのう」、立案「りゅうあん」→「りつあん」、消耗「しょうこう」→「しょうもう」などがそうである。(本来の読み方は左のほう)
「百姓読み」というのがあるそうだ。「漢字の偏や旁の音にひかれるなどして誤って我流に読むこと」で、たとえば洗滌「せんでき」→「せんじょう」。
いやはや、間違った読み方をしてました。
人名、「ただし」の表記は62字、公・方・矢・典・義・忠・美・正・匡・雅・貞・肇・斉・鼎・疋など。。
「理」は、おさむ・さだむ・さとし・たかし・ただし・まこと・まさし・り・とし・みち・こずえなど。
「理子」は、さとこ・のりこ・みちこ・りこ・あやこ・としこ・まさこ・なおこ・よりこ・さとりこなど。
地名の読み方も千差万別。
「神戸」は、こうべ・ごうど・かんど・じんご・こうど・かんべ。
「とどろき」は、轟・轟木・驫木・等々力・二十六木・廿六木・動木。
難読地名は数限りなくある。
十六島・不入斗(ATOKではちゃんと変換できた)・一口(いもあらい)・愛(あたい)などなど。
去年、檜原村に行ったのだが、人里(へんぼり、5万分の1の地図を見ると「人」に「へんぼ」とふりがな)、笛吹(うずしき)、事貫(ことずら)というバス停があった。
秋永一枝早稲田大学名誉教授のコラム(東京新聞2008年3月12日)が紹介されている。
そこにこういうことが書かれている。
「つい三月ほど前、私は京都でバスに乗った。バスのアナウンスで「次はナナ条に止まります」というのを聞いて一瞬心臓が止まりそうになった。京都では古くはヒッチョ(-)である。それがヒチどころかシチを通り越してナナなどとは。京都人はなぜそれを許すのか」
同じような経験を私もしている。
私の出身校は観音(かんのん)高校である。
ところが、通学バスのアナウンスは「次はカンオン本町です」で、極めて不愉快だった。
ところが広島市HPを見ると、以前はちゃんと「かんのん」だったのに、なぜか現在は「かんおん」となっている。
なんでも観音高校も現在は「かんおん」だそうな。
どうしてそんな変な読み方にしたのか。
観音だけではない。
十日市は「とおかいち」と読むべきなのに、なぜか広島市の十日市町は「とうかいちまち」であり、これじゃ小学校の先生が生徒に教えるのに困るだろうと思う。
「十日」を「とうか」と読んだら×なのに、「十日市」は「とうかいち」と読まなきゃいけないわけだから。
ウィキペディアには「なお、観音の発音は「かんのん」ではなく「かんおん」である」と書かれている。
いつからカンオン高校になったのか……。
情けなや。
最新の画像[もっと見る]
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- ボー・バーナム『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』 5年前
- 森達也『i -新聞記者ドキュメント-』 5年前
- 日本の自殺 5年前
- 日本の自殺 5年前
- アメリカの多様性 5年前
- 入管法改正案とカファラ制度 6年前
- マイケル・モス『フードトラップ』 6年前
「さえき郡さいき町」です。
広島市佐伯区は「さえき区」。
岐阜県には七宗町(ひちそうちょう)という町があります。
江戸っ子は「シ」と「ヒ」が逆転するので、「シチ」ではなく「ヒチ」と発音するとのこと。
東日本の人だって「ヒチジョウ」と言われてわからないわけではないらしいですよ。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/0723/253098.htm?o=0&p=0
↑の一番下には次のような投稿がありました。
「京都に「七条」という地名があります。京阪電車に「七条駅」がありますが、読み方は「ひちじょう」です。アナウンスもそう言ってます。絶対に「しちじょう」とは読みません。」
ところが↓を見ますと、京阪は「しちじょう」とアナウンスするらしいです。
http://carpediem2005.jugem.jp/?eid=156
うーん、真実はどこに?
私も京都に住んでいたことがありますが、当初「ひちや」という看板が何の店なのか全然わかりませんでしたから・・・。
京都は観光都市ですからね。全国から来る方たちにわかりやすいアナウンスを・・・と考えることは、正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも間違ってはいないことではないかと思います。
だけど、だったら「ヒチジョウ」でもいいように思います。
「シチジョウ」より言いやすいし。
>時代と共に変化するので、ある程度はやむを得ないことだと思います。
言葉の発音や意味は変化しますからね。
でも、「時を分かたず」が「すぐに」か「いつも」という意味か、「破天荒」が「だれも成し得なかったことをすること」か「豪快で大胆な様子」か、「敷居が高い」が「相手に不義理などをしてしまい,行きにくい」か「高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい」か、そんなこともわからない私が言葉は変化するものだと言っても説得力がないですね。
→意図的に「ナナジョウ」と言っている
すみません、間違えました。
ところで、京都のバスのアナウンスの件ですが、京都で「シチジョウ」と言うと「シジョウ」と聞き間違えるお客さんが多いので、意図的に「シチジョウ」と言っているということを聞いた事があります。
私も京都でタクシーに乗り、「烏丸シチジョウの交差点まで」と言ったところ、「烏丸シジョウ」に連れて行かれた経験があります。運転手さんによっては、「○○シチジョウまで」と言うと「ナナジョウのほうでいいんですね?」と確認する方もいます。なので、便宜上わざと「ナナジョウ」と発音しているんじゃないかと思いますが・・・。