「溜息通信」63号をいただく。
「脱原発特別号」である。
毎度のことだが、超辛口。
「今、福島原発で起こっていることは、原発の危険性を訴え続けてきた側にとっては、全て「想定内」のこと。40年も前から原発の危険を直感した人たちは、それこそ万語を費やして「想定」される問題点とその危険性を説いてきたのに、推進側の人たちは耳を傾けず、「心配しすぎ」「空想」「無知」「素人の戯言」と一笑に付しておいて、「想定外」だったとは聞いて呆れる」
今でも「心配しすぎ」と一蹴する人もいるけれど。
電気事業連合会『内部資料・原子力発電に関する疑問に答えて』(『決定版原発大論争!』1988年刊に所収)に、「津波、地震がきても大丈夫なのか」という問いには、
「原子力発電所は、その地方で想定され得る最大級の地震に対しても十分な耐震性を持たせてあります。
また、津波が来ても重要な機器や施設が被害を受けないよう設計しています」
と答え、最後は、
「したがって、原子力発電所においては、津波による被害は考えられません」
と締めくくっている。
ところが、津波による危険性は23年前に生越忠氏(地質学者)が指摘している。(上掲書所収)
「津波には、表1に示したような等級があるが、最大の四等級になると、波高が数十メートルに達することもある」
「比較的なだらかな海岸に押し寄せた津波も、砂丘を簡単に乗り越えて内陸の奥深くまで侵入することがあるから、浜岡原発のような砂丘地に立地された原発も、津波による被害が心配されるのである」
ということで、浜岡原発は廃炉にして当然なわけである。
「万一、原発が波高の非常に高い津波に襲われた場合、それでも原子炉が正常な運転を続けられる(あるいは安全に停止できる)という保証など、どこにもないのである」
今回の事故をぴたりと予測している。
しかも、なんと2006年3月の衆議院予算委員会で吉井英勝議員が、津波の引き潮によって水が汲めなくなり、原子炉の冷却機能が失われる危険性について質問しているのである。
「吉井分科員 ですから、原子炉をとめるまでも、とめてからも、その冷却をする冷却系が喪失するというのが、津波による、引き波による問題なんです。
あわせて、大規模地震が起こった直後の話ですと、大規模地震によってバックアップ電源の送電系統が破壊されるということがありますから、今おっしゃっておられる、循環させるポンプ機能そのものが失われるということも考えなきゃいけない。その場合には、炉心溶融という心配も出てくるということをきちんと頭に置いた対策をどう組み立てるのかということを考えなきゃいけないということだけ申し上げて」
これまたずばりで、決して杞憂ではなかったわけだ。
いやはや。
それにしても、よくここまで調べたものだと、「溜息通信」には脱帽。
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