「外づらを使い果たして父帰る」林道雄
お笑い芸人は普段は愛想がすごく悪く、下っ端ほど態度がでかいと、どこかで読んだことがある。
考えてみると私も似たり寄ったりで、外では頭をぺこぺこ下げていい人ぶって、その代わりに妻や子どもには当たり散らす日々である。
キャバクラから始めて、ヘルス、SM、ストリップ、イメクラ、ソープで働いた菜摘ひかる氏の『菜摘ひかるの私はカメになりたい』にこんなことが書いてある。
「恋愛感情を持っていない男の人に迫られ、肉体関係を求められたらたいがいは困ると思う。困るがわたしはわりと簡単に受け入れてしまう方だ」
「八方美人体質ってこういうののことか。いい子になりたい願望、そんなに捨てきれないのか?」
「男の性の対象にされることでしか自分の価値を計れないわたしにとって、この身に性欲を感じてくれる人がいるというのは、なによりも嬉しく、感謝して止まないことだからだ」
「そんなにまでして私は人に、特に男性に嫌われるのが怖い」
「いままでの人生、仕事も含めて、わたしは好きだからするセックスではなく嫌われないためにするセックスばかりしてきた気がする」
私は性の対象にされたことがないけれども、嫌われるのが恐い、人の評価が気になるという気持ちはわかる。
藤岡淳子(大阪大学大学院教授)は
「女の子でも、厳しいことを言ってくれるちゃんとした人にはついていかずに、お前可愛いよ、愛しているよと言っているヤクザな男について行ってしまう。よくあるケースですね。
基本的な信頼関係が出来ていなくて、自己評価がものすごく低いと、優しくて無責任な人を信じてしまうのです。人と自分を信じる、というのは、その辺の相手の見極め方も入ってくると思うのです」(『少年犯罪厳罰化私はこう考える』)
と言っているが、菜摘ひかる氏もこのタイプなのかもしれない。
アルコール依存症になった人の話だが、仕事のことで頼まれたら、できないとわかっていてもイヤとは言えず、何でも引き受けていたが、できないものはできないので、結局はウツ病になったそうだ。
菜摘ひかる氏は29歳で亡くなっている。
つぶれてしまったのだろうか。
平木典子『アサーショントレーニング』に非合理的思い込みということが書かれてある。
a 人は誰からも愛され、常に受け入れられるようであらねばならぬ
b 人は完全を期すべきで、失敗をしてはならない
c 思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ
d 人を傷つけるのはよくない。だから人を傷つけるような人は責められるべきである
e 危険で、恐怖を起こさせるようなものに向かうと、不安になり、何もできなくなる
なるほど、これまたわかります。
非合理的思い込みを持って、自縄自縛状態になっている人はけっこう多いと思う。
非合理的思い込みのどこがおかしいのか。
a「人に好かれるにこしたことはないが、必ず好かれるとは限らないし、まして、好かれなければならないことはない」
c「過去と他人は変えられない」
d「傷つけまいと必死になるよりも、傷つけてしまうことがあり得ることをいつも心にかけ、その時の後始末の方法を身につけることが大切です」
e「不安は、そもそも非現実的な心配から起こります」
たしかにその通りだとは思うのだが、わかっちゃいるけどやめられないわけで、非合理的思い込みから自由になれそうにない。
というのも非合理的思い込みか。
平木典子氏の名言録。
「非主張的な言動をしていると、自分のことを分かってもらえない欲求不満がたまります。たまった欲求不満は、相手への恨みとなり、こんなに譲っているのに、相手は鈍感だとか、思いやりがないとか、自分が自己表現していないことを棚に上げて相手を非難する気持がつのります」
「一生懸命に結果や周囲を気にして動いているはずの人が、気にしすぎの果てに、結局、周囲に配慮が届かず、理解されず、誰区別なくあたりちらすはた迷惑な人になってしまうのです」
笑ってしまうぐらいの真実である。
些細なことで落ちこみ、ひきこもったら楽になると思うのだが、ひきこもったらひきこもったで、わかってもらえないとか、いい加減な奴ばかりだとか、文句ばかり言っては老害をまき散らすことになりそうな気がする。
「失敗をしてはならないという前提でものごとを進めると、責任を取ることが義務になります。義務として責任がともなうことはしたくないのは当然です。失敗してもいい、そしてそのことに責任をもってもいい、という人権があるから、私たちは、逆に成功するまで試行錯誤ができるのではないでしょうか」
で、アルコール依存症の人だが、「アル中になってよかった」と言う。
楽に生きる生き方をAAから教えてもらったからだそうだ。
菜摘ひかる氏もどこかの自助グループとつながっていたら、と思った。
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公立に行きたかったけど、すべってしまって私立に入る子もいます。
なのに、「金がないのなら公立高校へ行け」はひどいですよね。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00142918.html
橋下府知事は北野高校から早稲田大学、そして司法試験合格というエリートです。
勉強ができるといろんな選択肢があります。
ところが、親に金がないとか、勉強ができないと選択肢が限られてきます。
なのに、府知事が選択肢をせばめることを言うんですから。
「日本は自己責任が原則。誰も救ってくれない。それがいやなら、政治家になるか日本から出るかだ」なんて無茶です。
政治家になるか、日本から出るか、それとも政治を批判せずに黙っているかしか選択肢はないのでしょうか。
橋下知事はお金があるから、ご両親が寝たきりになっても困らないでしょうけど、お金がない人には「自己責任だから自分で親の面倒を見ろ。行政に期待するな」と言うんでしょうね。
「大阪の(教育の)ひどい状況は全部家庭の責任。学校に責任をなすり付けるのではなく、保護者が自覚を持って学校運営に当たらないといけない」という発言も自己責任論。
ということは、知事としての責任逃れです。
http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008110301000168.html
もっとも、橋下知事は自分の発言にどういう反応があるかを計算して、わざとそういう過激な発言をしているんでしょうね。
実際、Youtubeのコメントを見ますと、橋下知事の狙い通りの反応です。
http://jp.youtube.com/watch?v=7AO9u2Lczeo
ネットで高校生を叩いている人はエリートなのか、それとも落ちこぼれなんだけど「上見て暮らすな下見て暮らせ」がモットーなのか、どっちなんでしょうね。
先輩に、私学助成の署名を求められて、私も私学の高校に通っていたのもあって署名しましたが、なかなか署名を集めるのも難しい・・・と、先輩言ってましたね。
でも、実際に家庭に余裕の無い時に、子どもが私学に行く状況もありうるので、ブログで高校生を攻撃している人も、そういう状況になるとどうかな?と思いますね。
近づいてこられる(好かれる)のは困るし、かといって誰も近づかない(嫌われる)のは寂しい。
人づきあいが苦手だということは自分勝手ということなんでしょうね。
私も人のいやがることをわざわざ言うのが好きな性格でして、やな奴だと自分でも思います。
人間関係を壊すつもりがないのに壊してしまうわけで、こういうのも破滅型人格かもしれませんね。
菜摘ひかる氏は買い物依存もあるようです。
29歳で死んだということが念頭にありますから、そういうところにも危なさを感じました。
関係をぶち壊してしまう。そんな感じ。
4月に麻生美由樹というAV女優さんが硫化水素で自殺されてましたけど。これは2ちゃんねるの書き込みが影響しているそうで。
まあ、でもこの人なんでこんなにひとを挑発するというか、きらわれるというか、ツッコミ入れられるようなことをしゃべったりするのかと、思いましたけど。
とにかく売れるためには、目立つためには、とことん行くとこまでいかないというプロダクションの方針ですかね。
あー、どつぼにはまるというのは目に見えてるのですが。しかし岡田采配も似たようなもんで。。。
SCA東京グループとかS-A JAPANとかの性依存症のセルフヘルプグループがありますけど。
菜摘さんも書くという表現行為で治療するのもいいのでしょうけど、こういうとこへつながることも大切だと思うのですが、まわりのひと儲けをたくらむ大人たちは、そういうアドヴァイスしないのかな。