百田尚樹さんと有本香さんの対談です。(動画が編集されているので、この順で話しているかはわかりません)
有本「ヘイトとかなんとかじゃないですよ。おかしいですよ」
百田尚樹「おかしい。誇りはないし、恥はないし、人間のクズやね。だからね、韓国は最低や、韓国人でもいい人はいますよと。いい人なんておるかいな、絶対」
有本「いい人がいたって関係ないんですよ。国としてああいうことになるだったらそういう評価できると思うんですよ」
百田「いい人なんていないと思うよ。いい人に見えたら絶対嘘や」
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1507735974880907272/pu/vid/480x270/_0BD8XqI7kqCgta1.mp4
1994年、ルワンダでフツ族過激派が多数のツチ族とフツ族穏健派を虐殺しました。
ラジオ局は「ゴキブリを殺せ」と虐殺を煽りました。
百田尚樹さんは「韓国人はおかしい」「人間のクズ」「斬りに行く」と言っています。
ルワンダのラジオ局とどう違うのかと思います。
安倍晋三元首相がこういう人と首相在任中に会食や対談を何度もしていたのはどう考えてもおかしい。
石戸諭『ルポ百田尚樹現象』で、百田尚樹さんのサイン会に来た人たちに聞いています。
女性(60代)「ただの大阪のおっちゃんみたいに喋っていて、飾り気がない。すべて本心で語っている」
税理士の女性(48歳)「日本人の偉大さを思い出させてくれた小説家」
石戸諭さんは税理士の女性についてこのように書いています。
韓国人はクズだと思っている人に韓国人の友人がいるというのも不思議です。
『虎ノ門ニュース』を制作するDHCテレビジョン社長である山田晃さん。
百田尚樹さんが人気ある理由はこの4点のようです。
①「物事をズバッと言い切っている」
②「本心で語っている」
③「日本人の偉大さを思い出させてくれた」
④「面白い」
①「物事をズバッと言い切っている」
フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー『超予測力』に、KISSの法則について説明されています。
KISSとは「簡単に言えよ。このバカ(keep it simple,stupid)」という意味。
・ハリネズミ型
シンプルで隙のない明快なストーリーを語るので、聴衆は引き込まれる。
何かが絶対に起こる、あるいは起こらないと断定する。
単純明快さと自信は聞き手に安心感を与える。
・キツネ型
何が確実か、あるいは不可能かを言うことを避け、「かもしれない」といった表現を選ぶ。
一つの問題をさまざまな視点から見るので、その説明は「しかし」「一方」という言葉が多く、複雑になる。
たとえば、科学者は疑似科学を頭から否定することはしません。
正しい可能性がゼロではないからです。
しかし私たちは、理屈っぽくてまわりくどい説明や曖昧な答えを聞いてもすっきりしないので、こうなんだと断定してほしく思います。
②「本心で語っている」
百田尚樹さんのサイン会の客は、自分たち普通の人の代弁者だと思っているそうです。
百田尚樹さんはみんなが思ってても口にしない本音、あるいはもやもやとしてるがはっきり言葉にできないことを大胆に発言します。
「そうそう、自分もそれを言いたかったんだ」と思うわけです。
有名人が断定しているから正しいと思えます。
しかし、差別意識と優越感を刺激し、肯定しているにすぎません。
③「日本人の偉大さを思い出させてくれた」
物江潤『ネトウヨとパヨク』による「ネトウヨ」の定義は「過剰に日本のことを高く評価し、中国や韓国への強い敵意や差別心を持つ傾向が強い人たち」です。
早川タダノリ『「日本スゴイ」のディストピア』は戦前の日本礼賛本を紹介した本です。
べつに自分がスゴイわけでも何でもないのに、なぜか自分が褒められているかのように感覚してしまう「日本スゴイ」現象―それはハッキリ言って「大きな勘違い」で、視聴者自身は全然スゴくないままなのだ―その快感のなかで、みすぼらしい自分の現実の姿を忘れ、〈日本人としての誇り〉とか〈皇国民としての使命〉といった大義を担う存在へと動員されていくところに、大きな陥穽があるのではないだろうか。
お世辞だとわかってても、ほめられてうれしくない人はいません。
④「面白い」
たしかに百田尚樹さんは話術が巧みです。
有本香三との対談でも、ニヤニヤしながら聞いてしまう魅力があります。
どうした受けるのか、感覚的に知っているのでしょう。
トランプ前大統領や橋下徹さんもこの4つの要素があると思います。
ただし、それはポピュリズムの魅力でもあるので、怖くもあります。