三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

福島みずほ「いのちとくらし、平和憲法をまもりぬく」(2)

2018年08月09日 | 日記

・狭山事件
被害者宅の玄関に差し込んであった脅迫状を書いた万年筆は被害者のもので、その万年筆が石川一雄さんの家で発見されたということになっている。
ところが、脅迫状の文字をコンピューターで筆跡鑑定をしたら、石川一雄さんの字とは99.9%違うという結果が出た。
万年筆自体も、インクの成分が違っているので被害者のものではなかった。
http://log.sayama-case.org/date/blog-entry-234.html

狭山事件とは、1963年5月1日、狭山市で16歳の女子高生が行方不明になり、身代金を要求する脅迫状が届けられ、5月4日、遺体が発見されたという事件です。
逮捕された石川一雄さんは強盗強姦・強盗殺人・死体遺棄・恐喝未遂・などで起訴され、一審は死刑、二審の無期懲役が確定しました。

日野町事件の再審開始が決定しました。
1984年に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件です。
阪原弘さんは無期懲役で服役中の2011年に死亡しています。

毎日新聞「記者の目」に山本直記者がこんな記事を書いています。

滋賀・日野町事件再審決定 心証にこだわりすぎた
(略)
1審裁判官が裏で検察誘導
 ところが、審理が大詰めを迎えた95年に入って、検察は突然、訴因(起訴状に書かれている具体的な犯罪事実の主張)のうち、殺害場所を「日野町内」▽殺害時刻を「28日午後8時過ぎごろから翌日午前8時半ごろまでの間」▽被害品を「在中金額不詳の手提げ金庫など」--と大幅にぼかす予備的訴因の追加を地裁に請求した。2月には殺害場所を「日野町内とその周辺」にまで拡大した上で無期懲役を求刑したのだ。
 地裁は結審間近にもかかわらず、これらの請求をほぼ認めた。そして同6月、最大の争点と思われた自白の信用性を否定する一方、検察側の主張通り阪原さんが遺体や金庫の場所を知っていたと判断、店内の鏡に阪原さんの指紋が付着していたことも有力な証拠として無期懲役を言い渡した。20年以上も前の話なので、今回の再審開始決定に関する報道でも、こうした経緯はほとんど触れられていない。
 しかし、この背景に重大な「秘密」があった。担当裁判官が検察に対し、殺害の場所や時刻などをぼかす公判対策を行うよう法廷外でこっそり働き掛けていたのだ。裁判のもう一方の当事者である弁護側には秘密で。
 複数の検察関係者によると、合議制の裁判官3人のうち一人が担当検事との打ち合わせで、起訴内容にある殺害場所や犯行時刻、被害品をぼかした方がいいと勧めていた。裁判が長期化し、担当検事は何度か代わったが、その度に同じような働き掛けをしていたという。最終的に予備的訴因の追加に踏み切った理由について「裁判所は有罪の心証を持っていた。状況証拠だけで有罪にできると言われたも同然と判断したからだ」と語る関係者もいた。
 刑事訴訟法は起訴に当たって犯行の日時、場所、方法をできるだけ特定するよう求め、裁判所が追加や変更を命じることができるとも定めている。ただ、こうした「裏取引」は公平性・公開性の観点から問題がある。弁護側にとっては対策を取る時間的余裕がない上、殺害現場をあまりに広げられては十分な防御ができないからだ。
 「地裁としては、自白の信用性がないから殺害の日時と場所が認定できない。だが、心証はクロ。だから何としても有罪にするため、訴因をあいまいにさせたのだろう」。弁護団は地裁の動きをこう分析し、憤った。(略)(2018年7月24日)。

https://mainichi.jp/articles/20180724/ddm/005/070/007000c

驚くことに、裁判官は検事がぐるになって有罪判決を出したわけです。
石川一雄さんや阪原弘さんのように、自白を強要されて死刑判決を受けた死刑囚は他にも大勢いるのではないでしょうか。

・憲法改正
憲法改正国民投票は最低得票数の規定がない欠陥法案。
投票率が40%だと、有権者全体の21%で憲法が変えられることになる。
国民投票になれば、投票日の2週間前までCMが流し放題で、金があるところが有利になる。
国民投票するには852億円の費用がかかる。
国会議員選挙と同時にやれば経費は抑えられるが、選挙の争点と国民投票の争点がぐちゃぐちゃになってしまう。

自民党の改正案によると、第9条にある「必要最小限度の」という言葉がなくなっている。
何がやれて、何がやれないのかがわからないので、これはできないということがなくなる。

また、9条の2には、権力を縛るものが入っていないので、防衛費が拡大するだろう。
2018年度の防衛予算は5兆2500億円で、過去最高。
自民党の中には、GNPの1%から2%にせよ、10兆円に増やせという意見がある。
年間税収が50兆円くらいなのに、その2割が防衛費だと財政破綻するし、社会保障費をさらに削らなくてはいけない。

「法律の定めるところにより」とあるので、新しく法律をつくれば何でもできる。
「国会の承認その他の統制に服する」とあるが、「事前承認」ではないので、戦争するとしても、国会の事前承認すら必要としない。
議論さえせずに戦争を始め、国会で質問をすれば、秘密保護法のもとで回答を拒否されるという状況になりかねない。、

そして、自由が制限されていくのではないか。
今でさえ国会議員の発言に圧力がかかっている。
2015年、「戦争法」「鉄面皮」と言ったことに対して、削除要求を受けた。
1999年、共産党の「周辺事態法は戦争法ではないか」という質問に、小渕総理は「御党が戦争法というのは分かりますが、私たちはこういう意味でこの法律をつくろうとしています」と答弁している。

「緊急事態宣言条項」を憲法に加えることは、国会から立法権を取り上げ、内閣で実質的に法律がつくれるようにすることであり、三権分立の侵害になる。
緊急事態宣言条項は独裁政権のもとで使われ、ナチスの国家授権法と同じで、フランスのアルジェリア戦争、韓国の独裁政権支配体制強化のためにも使われた。
教育の無償化、参議院の合区解消は、憲法を変える必要はなく、教育政策で実現すべき課題だし、公職選挙法でやるべき問題。

(追記)

「FORUM90」VOL.160に、飯塚事件と袴田事件の再審請求棄却について、弁護士の講演録が載っています。
それを読むと、弁護側のDNA鑑定を裁判所が認めなかったのはおかしいとしか思えません。
飯塚事件では、科警研はDNA鑑定をするための試料がないと言い、鑑定写真を改竄しています。
森友・加計問題でのデータの廃棄・改竄とも通じます。
裁判官と検察はグルなのではないかと邪推したくなります。
冤罪なのに執行された死刑囚は少なくないかもしれません。

コメント
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