家族が死んだ際、死別の受け止め方が親子、夫婦で違ってて、なくなった人の話がなかなかできない、ということを聞きます。
野田正彰氏の話に、子供を亡くしたお母さんはその子への思いが強くなり、他の子供たちのことを気にかけなくなる傾向がある、子供たちは「お母さんの子供はあの子だけではないのに、死んだ子のことばかり言っている。私はいてもいなくてもいいようにしか思われていない」と感じる、ということがありました。
そうして親子、夫婦の感情がずれていくことがあるそうです。
阪神大震災で子供を亡くし、2~3年後に離婚した夫婦が30%を超えていて、仲が悪かったわけではなくても、子供を失うことで齟齬が大きくなるということです。
子供の死がきっかけになって別れた夫婦を描くネッド・ベンソン 『ラブストーリーズ コナーの涙・エリナーの愛情』は、夫と妻それぞれの視点から描いた二本の映画です。
同じ場面のセリフでも、『コナーの涙』と『エリナーの愛情』ではちょっと違っていて、夫と妻が異なって記憶していることを映像で表現しています。
私は男だからか、妻のエリナーの気持ちにもう一つ共感できませんでした。
両方の祖父母も出てきて、孫が死んだつらさや悲しみを語ります。
一人の死をめぐって無数の物語があるわけです。
夫の父親が「流れ星は一瞬にして過ぎ去る。それでも目にするのは喜ばしいことだ」と言います。
いい言葉でしょ。