環境問題は人々の関心をひく。
環境ホルモンがどうのこうのとか、ケータイは電磁波を出すので脳腫瘍になるとか、そういう話が話題になっては消える。
実際のところはどうなのだろうか。
池田清彦『環境問題のウソ』は巷で言われている環境問題にはウソがあると指摘する。
第1章 地球温暖化は本当か、二酸化炭素は温暖化の元凶か
第2章 ゴミを燃やすと出るというダイオキシンは毒なのか
第3章 外来種、たとえばブラックバスは生態系を壊すのか
第4章 自然保護はなぜ必要か
ダイオキシンで病気になった人も死んだ人もいないし、ましてゴミの焼却で生じるダイオキシンなんて微々たるもので、焼却炉を作る業者と政治家が儲けているいるだけのことだそうである。
ブラックバス悪玉論が言われているが、ブラックバスにより滅ぼされた日本の在来種は一種もいない。
自然保護だからといって、現状維持をすることが自然保護ではない。
なるほどなと思うが、地球は温暖化していない、二酸化炭素が増えたとしても温暖化にはならない、という主張はあやしい。
・地球の気温が上昇しているかどうかわからない
・上昇しているとしても人為的要素ではなく、自然変動かもしれない
・かりに人為的要素で上昇していても、二酸化炭素が原因かどうかわからない
・それよりも太陽の黒点数と平均気温の変化のほうが関係ある
それなりに説得力がある。
二酸化炭素を削減しようとすれば莫大なコストがかかる、それよりも途上国のインフラ整備に使ったほうがずっと効率よく温暖化対策を実現できる、と言われると、そういうものかという気になる。
しかし、地球温暖化の危機を訴えるゴア元副大統領の『不都合な真実』のほうが説得力がある。
池田清彦は「沈没が心配されているツバルの海面もこの25年間の変化はゼロらしい」と書いている。
読んでいる人は「らしい」とは思わず、事実だと思ってしまう。
ところが、先日の新聞には、ツバルでは国民の多くが海外移住を考えているという記事が載っていた。
北極の氷が溶けても水面は上昇しないと池田清彦は言うが、水面上の氷が溶ければ、それだけ水面が上昇するはずだ。
それとか、北極の氷が溶けて冷たい水が流れ出し、大西洋の海流の流れが変わってしまうとか、そうした問題にはまったく触れておらず、やたらと楽観的すぎる。
そして、池田清彦者は資源の枯渇ということを考えていないようだ。
まさに、「環境問題のウソのウソ」である。
第1章の最後はこういう文章で締めくくられている。
どう考えても地球温暖化なんて大した問題じゃない。大変だ大変だと騒いでお金が儲かる人ならばともかく、そうでない僕は、他人の金儲けを助けるために、快適な生活を犠牲にしたりよけいに税金をとられるのは勘弁してもらいたいと思う。そこまでお人好しの人は普通の日本語ではバカって言うんだよね。
こりゃないな、と思う。
たしかに、地球温暖化でもうける人間は大勢いるだろう。
だけど、地球温暖化を否定することでうまいことする人だっている。
損得だけの問題ではない。
(追記)
十数年がたち、気温は上昇し、大きな気象災害が毎年のように起きています。
しかし、池田清彦氏によると、人為的地球温暖化は似非科学だそうです。
https://www.mag2.com/p/news/423638