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個人投資家は社債では儲かりません

2023-02-25 | 今日の東京市場

個人投資家は社債では儲かりません(円債)

楽天22回債(3.3%2025年償還)の購入をした方から「儲かるの?」と、聞かれました。

儲かりませんと答えました。個人投資家は債券では儲かりません。債券で儲けようとする場合、最低金額は最低で1億円が必要です(円債の場合)。なぜなら、債券価格は株価のように大きく変動しないからです。

債券価格はまれに1円以上変動することもありますが、よく動いても多くの場合は10銭、20銭です。1億円投資し、10銭上昇すると10万円、1円上昇すると利益は100万円です。

額面100万円投資したところで1円価格が上昇しても利益は1万円です。

 

債券の利回りと価格の関係は、表面金利が低いほど、償還までの残存年数が長ければ長いほど利回り変化に対し、債券価格は大きく変動します。楽天22回債は2年と短いため、価格変動は微々たるものです。

 

債券価格には上限価格が決まっています。それは、債券の価格はクーポン残額の合計と償還金額だからです。

楽天の場合はまだクーポンが支払われていないで、100万円につき年2回1.65万円が支払われます。償還まで保有するとクーポンの合計金額6.6万円と、償還金額100万円の合計106.6万円を受取ることになります。債券価格では106.6円で、この価格楽天22回債の上限です。利払いごとに1.65円減価し、償還前6カ月に最大価格は101.65円です。

 

・社債価格上昇は楽天の財務改善

楽天は財務内容が悪いので、2年債でも3.3%という高い利率がついています。今後、楽天の財務内容が改善されれば債券価格が100以上で取引されることがあるかもしれません。

社債を購入された方は祈ってください。

 

市場は楽天劣後1回債のコールに注目しています。コールは2023年12月13日に設定されています。コーラブル劣後債はコール(途中償還)が暗黙のルールです。仮にコールがスキップ(コールされないと)されてしまうと、債券市場が大混乱に陥ります。2016年12月にスタンダード・チャータード銀行が永久劣後債のコールをスキップ。この時、債券価格が暴落しました。特にコールを迎えるはずだった社債の次回コールが10年後ということも暴落の要因です。

 

今のところ楽天劣後1回債の価格は額面近辺で推移しているのでコールされる可能性が高いように思われますが、今後楽天のクレジットがさらに悪化するとコールスキップの可能性も考えられます。

 

いちどコールスキップをしてしまうと、他の債券に与えるインパクトは大きく、楽天の社債は大きく売られてしまうことでしょう。

 

社債は流動性が低いこと、インフレに弱いことから個人投資家が社債を購入する際には、年限が短い債券を選ぶようにしましょう。

 

藤井理

データ:Bloomberg


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