・債券勉強3
今回は格付けと利回りについて解説します。
・債券の種類
債券は発行体によって呼び方が異なります。国が発行する債券は国債、地方都市が起債した債券は地方債、財投機関が発行した債券は財投債、一般企業が発行する債券は社債です。
・債券の順位
債券には順位があります。基本となる債券は国債で、国債の流通利回りが債券市場に基準値となります。国債は国が元利金を保証しているので、デフォルトリスクはほぼないと考えられているためです。デフォルト確率が高くなるほど国債より利回りが高くなります。
国債、地方債、社債の10年債を比較すると国債→地方債→社債の順に利回りが高くなります。
社債は、格付けが高いほど利回りが低く、低い社債ほど倒産リスクが高いため利回りが高くなります。
国債、地方債、財投債、トヨタファイナンスのイールドカーブ(縦軸が利回り、横が期間)
・格付け利回り
格付けと利回りは、格付けが高い発行体ほど低く、格付けが低いほど利回りは高くなります。
格付けとは、格付けは格付け機関が発行体の倒産リスクをアルファベットで示したものです。最高格付けはAAA(トリプルA)です。債券は投資に適した(倒産リスクが比較的低い)投資適格債とハイイールド債(ジャンク債)に区分されています。投資適格債の定義は格付けがBBB以上、ハイイールド債はBB以下です。
格付け機関JCRによると、5年間の累積デフォルト率は投資適格債が2.47%(AAA:0%、AA:0.07%、A:0.4%、BBB:2.47%)、ハイイールドはBBが14.17%、Bが52.5%、CCC以下では61.54%です。
R&I格付けカーブ
日本市場ではBB債が起債されることはまずありません。格付けは定期的に見直され、企業の財務状況が悪化すると格付けが引き下げられます。
例えば2017年2月に起債されたエイチ・アイ・エス3回債(2024年2月償還)、4回債(2027年2月償還)の格付けは当初A-(JCR)でしたが、現在B+です。コロナによる業績悪化が要因で格付けが引き下げられました。格付け引き下げに伴い、社債利回りが上昇、
3月24日時点で残存年数0.88年3回債が13.77%(価格88.92)、残存3.9年4回債は10.87%(価格67.90)です。現在1年国債利回りがマイナス0.13%、4年が0.009%という水準なのでいかに高水準かが分かります。
HIS社債価格推移 格付け 2020年3月の格下げ以降社債価格が急落(A-からBBB+、現在B+)
・格付け機関
おもな格付け機関は日本R&IとJCR、米国のMOODY‘S、S&P、の4社です。日本で起債される債券はR&I格付けが主で、JCRは補助です。JCR格付けはR&Iより1ランク甘く付けられるため、A格を付けたい企業がJCRを選択するケースが目立っています。ソフトバンクGはA-(JCR)、典型的なケースです。