京都へ行くときの電車内での出来事。
乗った電車が快速だったので、横一列に座る座席でなく、4人掛けの席だった。
4人掛けの席に女性が二人座っていて、お互いが空いた席に、大きな荷物を置いていた。私がそばに行くと、二人とも荷物を手に持ち席を空けてくれた。そこに座っていると、次の駅で二人連れの70代後半のオバサンが乗ってきたが、一人しか座れない。通路の横の席には女子大生が3人座り、空いた席にバッグを置いている。車内には立っている人が何人もいた。この状況を見れば、席を占領しているバッグをのけるだろうと思っていたが、話に夢中でその気配はまったくない。黙っていてもいいのだが、教育上良くない。私が席を立ち、立っているオバサンに「どうぞ」と言って席を譲った。さて何と女子大生に穏やかに言って、バッグを置いている席に座るか思案をした。 「お嬢さん、そのバッグ動かすのはイヤかな~、イヤだったらいいんだけど・・・」と声を掛けた。こちらを見た可愛い女子大生は、丸坊主の黒ずくめの私は怖いおっちゃんに見えたようだ。 バーコードの”はげ頭”では、こうはいかない。丸刈りは、こんな時にはムチャクチャ効果がある。「すみませ~ん、ごめんなさい」と言いながら、さっとバッグを抱えた。 「ありがとう」と言って、空けてくれた席に座った。あれだけピーチクパーチクとしゃべっていた3人は、黙って固まっている。バツが悪いのか、私が怖いのか・・・。終着駅の京都駅で降りるとき、席を譲ったオバサンは丁寧に「ありがとうございました」と深々と頭を下げられ恐縮してしまった。 「いえどういたしまして」。私が立って京都駅まで行ったわけでもないのに・・・。立って京都まで行ったのであれば、爽やかな気分になれたであろうが、そんな気分にはなれなかった。