2025年問題とは、団塊の世代が2025年ごろまでに75歳以上の後期高齢者となり、医療費など社会保障費の急増が懸念される問題のことをいいます。後期高齢者の窓口負担の在り方などの給付と負担の見直しが議論の中心となった社会保障審議会医療保険部会ですが、令和2年12月23日付で「議論の整理」が取りまとめられています。
後期高齢者の窓口負担割合の見直しの他、傷病手当金の見直し、不妊治療の保険適用に向けた検討、任意継続被保険者制度の見直し、育児休業中の社会保険料免除の見直しなど実務に直結する内容が含まれています。
育児休業中の社会保険料については、被保険者の経済的負担に配慮して、免除される仕組みが設けられており、免除期間については、育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間とされています。部会では以下のような議論がなされました。
当部会においては、育児休業の取得促進や公平性の是正、事務負担の軽減といった観点から、現行制度を含め以下の課題について議論した。
① 新たな仕組みについて保険料免除の対象とすることの是非
② 月末時点で育児休業を取得している場合に当月の保険料が免除される一方、月途中に短期間の育児休業を取得した場合には、保険料が免除されないこと
③ 賞与保険料については、実際の賞与の支払に応じて保険料が賦課されているにも関わらず、免除されており、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があること
これらの課題について以下の通り意見が取りまとめられました。
現行制度及び新たな仕組みに関し、以下の措置を講じるべきである。
・ ②月途中に短期間の育児休業を取得した場合に保険料が免除されないことへの対応として、育休開始日の属する月については、その月の末日が育休期間中である場合に加えて、その月中に2週間以上の育休を取得した場合にも保険料を免除すること。なお、その際には、同月内に取得した育児休業及び新たな仕組みによる休業等は通算して育休期間の算定に含めること
・ ③賞与保険料が免除されることを要因として、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があることへの対応として、育休が短期間であるほど、賞与保険料の免除を目的として育休取得月を選択する誘因が働きやすいため、連続して1ヶ月超の育休取得者に限り、賞与保険料の免除対象とすること
これまでも現場では育児休業を月末1日だけ取得することや賞与月にやはり1日だけ取得することで、その月の保険料免除を受けることについては納得がいっていなかったのですが、賞与月については連続1か月超の育休取得者に限られることで本来の趣旨である形で育休対象者への免除が行われることになりそうです。これに対して、月末1日のみの育休については「その月の末日が育休期間中である場合に加えて」とあるように残ることになりそうで、まだ審議会のとりまとめ段階ではありますが、若干心残りです。
年に2回行っているOURSセミナ―ですが、今年の冬も2月26日(金)に予定しています。今回のOURSセミナーから少しリニューアルをして、まず私が1時間法改正全体をお話しして、その後1時間は事務所メンバーが旬のテーマをいくつか深堀りしてお話しするという企画になります。今週末は、その土台となる2月13日(土)にウェビナーで行うBBクラブの勉強会(これは私一人で2時間法改正のお話しします)のレジュメづくりにいそしんだのですが、コロナに気を取られている中でも、次の法改正や政府の施策は着々予定されていると感じました。今週末は緊急事態宣言中である上に、雪が降るかもしれないということで外に出たくなるような雰囲気ではなく集中して色々と処理することができたのはよかったです。