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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

休職期間中の育児休業

2010-06-13 23:59:45 | 産前産後・育児・介護休業

顧問先企業から毎日色々な質問が来ますが、それにお答えする手順はだいたい同じです。まず自分で永年使っているTACの新標準テキストを確認しながら答えを考えてみる。そのあと根拠の条文や通達を調べてみる。それでも確証がなければ持っている書籍で調べてみる。そのあたりで必要と思えばおおむね自分なりの見解を考えた上で厚生労働省などに確認してみる。ここまで行かず、すぐ答えられるご質問も多いですが、考えていくと奥深いものもかなりあります。毎日そのような作業を繰り返すことによって、自分の知識の蓄積ができることがうれしく、仕事をしながら勉強できる社会保険労務士という仕事に出会えて本当に自分は幸せだと感じています。

先日企業からお問い合わせがあった質問の中で休職期間中に育児休業の申し出があった場合どうなるのか?また、育児休業期間中に休職期間が満了した場合は退職としても良いのか?というものがありました。

休職期間というのは病気等のために労働日の労働を免除するというものですが、法律で「休職」を規定しているわけではありません。従って労働基準法でも就業規則の絶対的必要記載事項ではなく、相対的必要記載事項(会社に定めがあるならば記載することとするもの)となっています。

労働日の労働を休職によりすでに免除されているのに育児休業を取得することは可能なのか?お問い合わせを受けたときにまず頭に浮かんだのですが、そこは育児休業の申し出は労働者としての権利ですし、雇用保険法に定める育児休業給付金が受給できるということもありますので育児休業の取得は可能であろうと考えました(その場合は病気休職ではなく育児休業となるので傷病手当金は受給しない)。また育児休業の途中で休職期間満了となった場合は、復帰できない状態であればそこで退職となるであろうと考えました。これは色々な本を調べてもたぶん載っていないと考え、ここまであたりをつけて厚生労働省に確認したのですが、折り返しということで即答ではありませんでした。

翌日回答を頂いたのですが以下の通りです。

①休職期間中に育児休業の申し出があった場合は育児休業を取得させることになる。これは法に定めのない休職期間より、法に定めのある育児休業の方を優先させるべきだという考えに基づくそうです。

②その育児休業期間中に休職期間満了の日が来た場合に、病気等が治らず育児休業がないとしても復帰できない状態であれば退職として差し支えない(あくまで出産・育児休業等の取得を理由として無理やり退職させるようなものでないこと)ということでした。これは解雇制限期間中に契約期間満了となった場合には、解雇ではなく契約期間満了による退職となるのに少し似ていると思います。

病気休職から育児休業に変更になった場合の傷病手当金はどうなるのかは聞きませんでした(たぶん担当部署が異なると思いましたので)。その際は育児休業給付金を受給するわけですし信義則からいっても傷病手当金は受給してはいけないと思いますが、そうなると結局育児休業と休職とどちらが労働者にとって良いかという問題になると思います。資格喪失後の継続給付としての傷病手当金は資格喪失の時点で受けているか報酬との調整で受けていなくても受けうる状態である場合に限られるのですから、育児休業ではなく休職として傷病手当金を受けた方が退職後のことを考えると良いかもしれません。やはり深いです~。

毎日とてもさわやかな季節になりました。2階に移転した事務所はベランダがあるため開放感があり、今のところ私の席の後ろにある窓を半分くらいあけて仕事をしていますが、とても気持ちが良いです。夏が近づいてきましたが、社労士受験生は本試験まであと2カ月強、落ち着いて丁寧に勉強してください。

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