60歳定年制の場合の65歳までの雇用確保措置として継続雇用制度がありますが、継続雇用制度には「再雇用制度」と「勤務延長制度」の2種類があります。一般的にはいったん退職とし、再雇用する再雇用制度を取る企業がほとんどであると思います。再雇用制度の場合は、再雇用の契約は定年前の労働条件とは関係なく新たな契約となるため、仕事も給与も大きく変わることが多いと思います。
「令和3年賃金事情等総合調査」によると、再雇用制度がある会社162社に対して勤務延長制度がある会社は4社です。ちなみに再雇用時の雇用・就業形態としては、162社中嘱託社員が85社、契約社員が45社、正社員が10社、パートアルバイトが8社となっています。再雇用制度適用者の労働条件は、定期昇給がなしが135社、賞与は正社員と比較して低い水準が109社、定年時(再雇用前)の退職金の支払いがありは136社、なし(再雇用契約終了時の支払含む)が26社であり、定年後再雇用分の退職金の支給はないが107社となっています。
60歳定年で退職せず残って欲しいというご要望のある会社さんのご相談があったのですが、そうであれば再雇用制度ではなく「勤務延長制度」が適しているのではないかということで勤務延長制度を調べてみました。勤務延長制度は定年に達したときに退職をせず勤務を継続(延長)する制度であり、労働条件については定年前と同一というのが一般的のようです。ただし、この定義は法的なものではないため、昇給停止や給与その他の労働条件の引き下げを含む変更もある程度は可能ということになります。新たな契約である再雇用制度ほど大幅な労働条件の低下はできないと考えますが、仕事の量、責任などを若干軽くすることで給与の減額は問題ないと考えますし、退職金についても勤務延長の終了時に支払うこととして少しずつでも増える仕組みにすることで、定年後の働き方としては悪くないのではないかと考えます。
ちなみに国公法では勤務延長を、「定年退職予定者の職務の特殊性又は職務遂行上の特別の事情からみて、当該職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときに、定年による退職の特例として、当該職員を定年退職日以降も当該日に従事している当該職務に従事させるため引き続いて勤務させる制度」とあり3年上限となっています。
勤務延長制度は、特殊性や特別な事情や医師等専門性が高い職務になじむようですが、今後の労働力不足により定年後も定年前と同様に働いてもらいたいということであれば、再雇用制度と選択できるようにする等の働き方の自由度を持たせることもあり得ますし、勤務延長制度を検討する場面が出てくるように思います。
コロナによる自粛と年齢のせいもあるのか、休みの日に外出せず自宅で過ごすのが一番のんびりして好きになりました。気に入ったお店で購入したドイツの紅茶が気に入って、オンラインで取り寄せて休みの日はゆっくり飲むのも楽しいです。でもやっぱり仕事が好きで、月曜日に事務所に行くのが億劫だと感じることはまったくなく、週末家でのんびりしながらも来週やる事の段取りを考えたりしています。
事務所は8月末が決算で9月から新年度です。9月以降秋にはいろいろセミナーや執筆、労務監査やPMI、就業規則のチェックなどかなりたくさんの仕事のご依頼を受けており、新たな気持ちで迎えられるように8月の残りの日々を有効に過ごしたいと思います。