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真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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統制された報道

2025年03月26日 | 国際・政治

   毎月掲載される、朝日新聞の「時事小言」に、また、藤原帰一氏(順天堂大学特任教授・国際政治)が、下記のようなことを書いていました。

 私は、その内容が、国際政治の学者のものとは思えないのです。

 共和党のトランプ氏が大統領就任するというアメリカの政権交代はなぜ起きたのか、その理由や背景を分析したり、考察したりして、国際社会が考慮すべきことを提案するのが国際政治ではないかと思います。でも藤原帰一氏は、戦後、圧倒的な軍事力と経済力を背景に、アメリカが主導してきたアメリカ中心の国際社会の歩みを民主的で正しい歩みであったとし、引き続き西側諸国主導の国際社会を維持すべきであると主張していると思います。今までと同じように、ロシアや中国を敵視し、軍事的な対応を続ける必要を語っていると思います。対立を乗り越え、話し合いによって、共に平和な国際社会を築こうとする姿勢はないと思うのです。

 そういう主張は、国際政治が専門の学者のものではなく、トランプ大統領いうところのDSの主張だと思います。だから私には、藤原氏が、学者ではなく、DSの「アジテーター」のように思えるのです。「反共のアジテーター」と言ってもよいと思います。

 藤原帰一氏 は、ロシアと話し合うことの必要性は、何も語っていないのです。

 資本主義経済が、国際的に普及して以来、西側諸国は搾取や収奪によって発展を続け、国際社会をリードしてきたと言えるでしょうが、富の偏り、格差の拡大によって、さらなる発展は難しい状況になっていると思います。したがって、西側諸国がさらなる発展を続けようとするならば、ロシアや中国をはじめとする反米、非米の国々との戦争は避けられないと思います。バイデン政権の国際協調主義の政策は、そういう意味で、西側諸国による搾取や収奪体制の継続を意図する「戦争政策」だったと思います。そして、藤原帰一氏は、その主張を繰り返していると思います。

 

 ふり返れば、ロシアがウクライナに侵攻した直後、「羽鳥慎一モーニングショー」は、その背景にある利害の対立、すなわちエネルギー問題に着目し、ロシアの天然ガスをヨーロッパに送るパイプライン「ノルドストリーム」について取り上げていたのです。その問題意識に少しも誤りはなかったと思います。でも、本格的な戦争に突入すると、そういう利害の対立を問題にするような報道は、大手メディアでは見事になくなりました。

 そして、ウクライナ戦争の解説にでてきた専門家といわれるような人たち、すなわち、アメリカの戦略をよく知る防衛省の防衛研究所職員やロシアの情報に詳しいる国際政治の学者、ジャーナリストなどが、利害の対立を取り上げず、プーチンの経歴や過去の発言の一部を切り取って、彼のウクライナに対する思いを語り、あたかもウクライナ戦争が「善と悪の戦い」であるかのような解説ばかりしていたと思います。

 プーチンは「超大国ソ連」に対する懐古の思いが強く、ウクライナはロシア領であるべきだと考えているというようなことがくり返し語られ、侵攻を命じたプーチンを「悪魔」のような存在にしたと思います。大手メディアは、みな同じような解説者を招き、同じような報道をくり返していたと思います。

 でも、国家間の戦争に限らず、地域の紛争でも、そこには必ず利害の対立があると思います。にもかかわらず、大手メディアは、みなその利害の対立を無視し、ウクライナ戦争を「善と悪の戦い」として報道したと思います。そのために、アメリカを中心とする西側諸国は、一致してロシアをあらゆる組織や団体から追放し、情報を遮断したのだろうと、私は思います。

 ウクライナ戦争が始まる前、CNNでさえ、ウクライナの右派政権が、ドンバスを武力攻撃している事実を報じていたのです。

 また、日本の公安調査庁が、公式ウェブサイト上の「国際テロリズム要覧2021」からウクライナの「アゾフ大隊」(現国家警護隊特命分遣隊アゾフ連隊)の記載を削除したという事実も、ウクライナ戦争を、悪魔のようなプーチンが命じたロシアの侵略戦争であるとするためであったと思います。ドンバス戦争で、一万人以上の死者が出ていたことなど、まったく無視して、「善と悪の戦い」とする報道がくり返されたと思います。

 そうした事実を踏まえて、下記を読むと、藤原帰一氏が反共のアジテーター」であるという側面は否定出来ないのではないかと思います。

下記は、藤原帰一氏文章の一部抜萃です。 

太西洋同盟が動揺している。トランプ 米大統領は 第1期政権からNATO( 北大西洋条約機構) 諸国に厳しくロシアのプーチン大統領とは友好的だった。

 第2期政権発足後、トランプはウクライナの頭越しに米ロ両国主導の停戦を模索する。訪米したゼレンスキー 大統領とトランプの首脳会談は決裂し、米国はウクライナへの機密情報提供を一時停止した。

 米ロの接近は明らかだった。224日のウクライナの領土保全を求める国連総会決議案に、ロシアと共に米国は反対票を投じた。トランプ政権はNATOによるソ連・ロシアへの対抗を基軸とする米国外交を逆転した。

 32日 ウクライナを含むが米国は含まない18カ国・機関がロンドンに集まってウクライナ 支援を継続する有志連合構想を発表し、英仏は30日の停戦の提案した。11日、米国は30日停戦を提案しウクライナも合意した。米国によるウクライナへの秘密情報の提供も再開された。

 ロシアは停戦に応じておらず、戦争の終わりは見えない。さらに太西洋同盟は揺らいだままだ。同盟維持に関心が薄いトランプ 政権の下で、米国は覇権国の役割から後退した。米国なしで欧州はウクライナを支援できるのか。米国に頼らない欧州の安全保障は可能なのか。米国が覇権から引いた後の世界、ポストアメリカの課題である。

 では 各国はポスト。アメリカの時代にどのように行動するのだろうか。

まず考えられるのが自主防衛だ。米国を頼りにできなくなれば独自の防衛力増強を図る ほかに選択がないではないか。当然の議論にも聞こえるが、西側諸国の同盟は米軍の強大な攻撃力を主軸としている。各国が自主防衛に努めたところで米軍が後退すれば攻撃力の弱体化は避けられない。

また米国の提供する核の傘、拡大抑止への信頼の弱まりは、各国による核軍拡、さらに核兵器の拡散を引き起こす危険がある。

 欧州諸国はロシアに対する抑止力として米国の核戦力に頼ってきたため、米国の後退が核兵器の軍拡と拡散を招く危険も高い。核保有国の英仏が核軍拡を進め、核をたない諸国は英仏と核兵器の国内配備さらに独自の核開発に向かう可能性もある。アジアでは北朝鮮と隣り合う韓国で核武装論がこれまでも繰り返されただけに核の傘の信頼が低下すれば核武装の呼びかけが強まる可能性が高い。現在の日本では 核武装論はごく少ないが、中国は核戦力を急増しているだけに、 韓国で核武装論が広がれば、核廃絶という国民的合意が動揺する可能性は存在する。

各国が軍備拡大に走れば国際関係は不安定になる。新たな核保有国の登場は軍事的緊張を高めることが避けられない。ポストアメリカが新たな戦争の時代の始まりかねない。

 では何ができるのか。米国が後退すれば、世界各国がつながりを強めるほかはない。

 軍事面では欧州諸国と日韓豪三国の防衛協力が必要となる。これは米国との協力に変わる選択ではない。米国の力に過度に依存するこれまでの同盟を長期的に支えることに無理があったとしても、米国を排除することには意味がない。必要なのは本来の意味における集団的安全保障であり、主権国家の領土、そして市民の安全と自由が武力によって奪われることのない持続可能な多国間秩序を支えることだ

  


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