真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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韓国併合ニ関スル件・対韓施設大綱ほか

2009年07月29日 | 国際・政治
 韓国併合の前年、時の桂内閣によって、下記「韓国併合ニ関スル件」および「対韓施設大綱」が、天皇の裁可の下に決定された。また、その翌年には、「併合後ノ朝鮮ニ対スル施政方針決定ノ件」が閣議決定されたが、朝鮮は天皇の大権によって統治すること、一切の政務は天皇に勅隷する総督が独裁すること、また、朝鮮人官吏の採用は階級を考慮することなど、併合の考え方が着々と固められていったことが分かる。「日本帝国主義の朝鮮支配上」朴慶植(青木書店)からの抜粋である。
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 韓国併合ニ関スル件(1909年3月30日総理へ提出、同年7月6日閣議決定)

 帝国ノ韓国ニ対スル政策ノ我実力ヲ該半島ニ確立シ之ガ把握ヲ厳密ナラシムルニ在ルハ言ヲ俟タズ日露戦役開始以来韓国ニ対スル我権力ハ漸次其大ヲ加ヘ殊ニ一昨年日韓協約ノ締結ト共ニ同国ニ於ケル施設ハ大ニ其面目ヲ改メタリト雖モ同国ニ於ケル我勢力ハ尚未ダ十分ニ充実スルニ至ラズ同国官民ノ我ニ対スル関係モ亦未ダ全ク満足スベカラザルモノアルヲ以テ帝国ハ今後同国ニ於ケル実力ヲ増進シ其根底ヲ深クシ内外ニ対シ争フベカラザル勢力ヲ樹立スルコトニ努ムルコトヲ要ス而シテ此目的ヲ達スルニハ此際帝国政府ニ於ケル左ノ大方針ヲ確立シ之ニ基キ諸般ノ計画ヲ実行スルコトヲ必要トス


 第1 適当ノ時期ニ於テ韓国ノ併合ヲ断行スルコト韓国ヲ併合シ之ヲ帝国版図ノ
    一部トナスハ半島ニ於ケル我実力ヲ確立スル為最確実ナル方法タリ帝国ガ
    内外ノ形勢ニ照ラシ適当ノ時期ニ於テ断然併合ヲ実行シ半島ヲ名実共ニ我
    統治ノ下ニ置キ且韓国ト諸外国トノ条約関係ヲ消滅セシムルハ帝国百年ノ
    長計ナリトス
 第2 併合ノ時期到来スル迄ハ併合ノ方針ニ基キ充分ニ保護ノ実権ヲ収メ努メテ
    実力ノ扶植ヲ図ルベキ事前項ノ如ク併合ノ大方針既ニ確定スルモ其適当ノ
    時期到来セザル間ハ併合ノ方針ニ基キ我諸般ノ経営ヲ進捗シ以テ半島ニ
    於ケル我ガ実力ノ確立ヲ期スルコトヲ必要トス


                  対韓施設大綱

 韓国ニ対スル帝国政府ノ大方針決定セラレタル上ハ同国ニ対スル施設ハ併合ノ時期到来スル迄大要左ノ項目ニ依リ之ヲ実行スルコトヲ必要ナリト認ム
 第1、帝国政府ハ既定ノ方針ニ依リ韓国ノ防衛及秩序ノ維持ヲ担当シ之ガ為ニ
    必要ナル軍隊ヲ同国ニ駐屯セシメ且出来得ル限リ多数ノ憲兵及警察官ヲ
    同国ニ増派シ充分ニ秩序維持ノ目的ヲ達スル事
 第2、韓国ニ関スル外国交渉事務ハ既定ノ方針ニ依リ之ヲ我手ニ把持スル事
 第3、韓国鉄道ヲ帝国鉄道院ノ管轄ニ移シ同院監督ノ下ニ南満州鉄道トノ間ニ
    密接ナル連絡ヲ付ケ我大陸鉄道ノ統一ト発展ヲ図ル事
 第4、成ルベク多数ノ本邦人ヲ韓国内ニ移植シ我実力ノ根底ヲ深クスルト同時ニ
    日韓間ノ経済関係ヲ密接ナラシムル事
 第5、韓国中央政府及地方官庁ニ在任スル本邦人官吏ノ権限ヲ拡張シ一層敏
    活ニシテ統一的ノ施政ヲ行フヲ期スル事


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   併合後ノ朝鮮ニ対スル施政方針決定ノ件(1910年6月3日閣議決定)

 一、朝鮮ニハ当分ノ内憲法ヲ施行セズ大権ニ依リ之ヲ統治スルコト
 一、総督ハ天皇ニ勅隷シ朝鮮ニ於ケル一切ノ政務ヲ統轄スルノ権限ヲ有スルコ
   ト
 一、総督ニハ大権ノ委任ニ依リ法律事項ニ関スル命令ヲ発スルノ権限ヲ与フル
   コト但本命令ハ別ニ法令又ハ律令等適当ノ名称ヲ付スルコト
 一、朝鮮ノ政治ハ努メテ簡易ヲ旨トス従テ政治機関モ亦此主旨ニヨリ改廃スルコ
   ト
 一、総督府ノ会計ハ特別会計ト為スコト
 一、総督府ノ政費ハ朝鮮ノ歳入ヲ以テ之ニ充ツルヲ原則ト為スモ当分ノ内一定ノ
   金額ヲ定メ本国政府ヨリ補充スルコト
 一、鉄道及通信ニ関スル予算ハ総督府ノ所管ニ組入ルルコト
 一、関税ハ当分ノ内現行ノ儘ニナシ置クコト
 一、関税収入ハ総督府ノ特別会計ニ属スルコト
 一、韓国銀行ハ当分ノ内現行ノ組織ヲ改メザルコト
 一、併合実行ノ為必要ナル経費ハ金額ヲ定メ予備金ヨリ支出スルコト
 一、総監府及韓国政府ニ在職スル帝国官吏中不用ノ者ハ帰還又ハ休職ヲ命ズ
   ルコト
 一、韓国ニ於ケル官吏ニハ其ノ階級ニ依リ可成多数ノ朝鮮人ヲ採用スル方針ヲ
   採ルコト
     附憲法ノ釈義
 韓国併合ノ上ハ帝国憲法ハ当然此ノ新領土ニ施行セラルルモノト解釈ス然レド
モ事実ニ於テハ新領土ニ対シ帝国憲法ノ各条章ヲ施行セザルヲ適当ト認ムルヲ以テ憲法ノ範囲ニ於テ除外法規ヲ制定スベシ


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「皇民化」政策徹底の背景・兵力確保

2009年07月19日 | 国際・政治

 民族抹殺政策ともいえる皇民化政策の徹底的な展開の背景には、やはり何としても兵力を確保しなければならない戦線の拡大があった。「内鮮融和」のスローガンが「内鮮一体」へと変わっていったのは、1937年の日中戦争の全面展開と軌を一にするという。 そして、1938年に朝鮮における志願兵制度が開始されると「皇民化」政策は切実な問題となり、もはや行政に任せておくことができなかったようである、軍当局が死活問題として「皇軍兵士」育成のために「内鮮一体」の皇民化に直接関わらざるを得なかったのである。さらに、太平洋戦争の完遂が至上命令となった時期には、朝鮮における徴兵制度の一日もはやい施行が求められ、皇民化政策の悲劇は一層深刻になっていったといえる。『朝鮮民衆と「皇民化」政策』宮田節子(未来社)からの一部抜粋である。
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           Ⅱ 志願兵制度の展開とその意義

 四 志願兵制度の意義
    ──皇民化政策の中における志願兵制度の位置──

 志願兵制度を実施してみると、そこでは意外なほど「皇民化」政策が、朝鮮人の中に浸透していない現実につきあたった。
 第1回訓練所後期訓練生採用を行った学務局長塩原時三郎は、その選考に当たっての所感を、次のように苦々しく述懐せざるを得なかっ た。志願者が「日本の国柄の万国に優れた点を問われて行き詰まったり、教育勅語中一番大切な箇所を問われて的外れな答をしたり、皇国臣民の誓詞が言えなかったりしては、寧ろ其の不用意さに驚く外はない」と。
 「半島青年同胞の亀鑑」たるべき志願者にして、この始末では他は推して知るべしである。したがって支配者にとってはむしろ「三十否二十数年前ニ三ツカ四ツノ子供デアッタノガ、ドウシテ今立派ナ日本国民ニナリ得ナカッタカトイフ点ニツイテハ考ヘナケレバナラヌモノ」があるという深刻な反省になって行くのである。

 しかし朝鮮軍当局にとっては、現在になっても朝鮮人が、「ドウシテ今日立派ナ日本国民ニナリ得ナ」いのかという問題は、より根源的で切実な問題であった。少なくとも色服着用を奨励したり創氏改名や「国語常用者」の比率を計算して、朝鮮人の「皇民化の度合」に、一喜一憂している総督府と、戦場という極限状況の中で「帝国軍人」として生死をともにしなければならない軍当局の立場は、微妙に違っていた。

 朝鮮人への徴兵制度の制定過程で、海軍側が述べたといわれる「大事な軍艦には絶対間違いのないものでなければのせられない。万一鮮人の過で事故が起きたら、艦もろとも全員海没である」という見解は、単に海軍のみならず、朝鮮人を「国家の支柱」たる軍隊に入れることにたいする全軍の不安と恐怖を端的に代弁していたと思う。

 しかもそれは単なる杞憂ではなかった。現に「五族共和を国本とする」「満州国」では、軍隊に朝鮮人を採用していたが、「昭和11年夏、東寧県に在りし1ヶ中隊は幹部たりし日本人の対遇(ママ)に不満を抱き、兵変を起こして蘇領内に遁走」するという事件がおこり、そのため一時「間島省内の朝鮮人軍隊の募集を中止」した事実があった。

 この事件は朝鮮軍がかねてから抱いていた「不吉な予感」を、事実をもって証明したものであり、当時の朝鮮国内における治安状況とあいまって、朝鮮軍の不安と焦燥をいかばかりつのらせたかは想像に難くない。すでに第1節で述べたように、その不安と焦燥が強まれば強まるほど、皇民化運動の中核として、朝鮮軍が登場して来る必要性が増大してきたのであり、それと比例して朝鮮人に対する皇民化政策は一層徹底化されなければならなかったし、また同時に「皇国臣民」の内実をも、軍当局が決定して行く理由があったのである。
 ・・・(以下略)
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                  Ⅲ 徴兵制度の展開

 二 徴兵制制定過程

 ・・・
 では総督府当局者さえ、何等ノ予告ナク」、「驚愕ノ念」をもって受けとられた徴兵制は、いつ、どこで、いかなる必然性をもって決定されたのであろうか。
 朝鮮における徴兵制は、太平洋戦争の開戦とほぼ軌を一にして、陸軍省軍務局軍事課を中心に具体化され、立案されたと断定してよいと思う。
 陸軍では太平洋戦争緒戦の予想以上の戦果と、それに伴う戦線の拡大という新たな事態の中で、世界最強の資本主義国と闘う予想される長期戦にそなえて、戦争遂行の最も基本的な力である「人的資源」について、深刻に再検討する必要に迫られた。

 ・・・

 以上のような兵力の「考定」にもとづいて、「服役3年次分ノ兵力ヲ以テ長期ニ亘リ保持シ得ベキ兵力ノ限度ハ、大和民族ノミヲ以テスレバ、陸海軍合シテ120万」と判断せざるを得なかった。しかもその120万すら「過重負担」であった。したがって「兵力保持ノ困難ト之ニ伴フ民族ノ払フベキ犠牲トヲ考察スルトキハ、外地民族ヲ兵力トシテ活用スルハ今ヤ議論ノ時機ニアラズ、焦眉ノ急務」として、朝鮮人に対する徴兵制の施行が具体的日程にのぼって来たのである。 

資料--------------------------------
  陸密第1147号
朝鮮ニ徴兵制施行準備ノ件
   昭和17年5月1日
内閣総理大臣        陸軍大臣 東条英機
                 拓務大臣 井野硯哉  
朝鮮ニ徴兵制施行準備ノ件 別紙ノ通定メ度理由ヲ具シ閣議ヲ請フ
朝鮮人ニ対シ徴兵制ヲ施行シ昭和19年度ヨリ之ヲ徴集シ得ル如ク準備ヲ進ムルコトト致度
             主任者 
             陸軍省軍務局軍事課
             陸軍中佐   高崎正男
 理
帝国防衛圏ノ拡大ニ伴フ軍要員ヲ取得シ併セテ最近熾烈トナレル朝鮮人ノ兵役義務負担熱ノ与望ニ応ヘ以テ朝鮮統治ノ完遂ヲ図ル為徴兵制ノ準備ニ着手スルノ要アルニ由ル。
  

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韓国司法権引き渡し条約と伊藤博文

2009年07月15日 | 国際・政治
 日本では「明治の元勲」として評価の高い初代韓国統監府統監伊藤博文も、現在社会の常識的な考え方でふり返れば、韓国に対して極めて差別的な韓国国権剥奪者であったと言わざるを得ない。それは、下記の司法権剥奪条約を含む、彼が関わったいくつかの条約や協約、および様々な制度変更から明らかである。「朝鮮独立運動の血史1」朴殷植著・姜徳相訳注(平凡社)には、200を超える韓国全土の府郡で独立運動がおこり、義兵としてこうした差別的政策に抵抗した人民は、200万をこえたとある。詳細が14ページにわたる一覧表で示されており、死亡人数の総計欄には7,509とある。以下は、同書から司法権剥奪に関わる部分を抜粋したものである。
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           第12章 伊藤、軍・法両部を廃止する

 伊藤は統監に就任すると、曾弥荒助を副統監とし、各部協判を次官と改称し、全員日本人を任命した。13道の事務官にも日本人を専置し、その俸給を増額した。また朝鮮人巡査250名を罷免し、かわりに日本人警官を充てた。
 伊藤は太子太師の職を利用し、皇太子李垠を東京に連れてゆき、自分のかわりに曾弥を統監に推した。その後伊藤はふたたび来朝し、李完用らを招いて協議し、陸軍、司法両部を廃止した。侍衛歩兵1隊の残存部隊まで、日本軍司令部の指揮下に隷属させ、司法権は日本人の管理に帰した。統監は、法官を設立、任命し、朝鮮人民に日本の刑法を遵守させ、朝鮮の旧法律はことごとく廃止した。全国の裁判所の官吏にはすべて日本人を任命した。司法権引き渡しの条約は左記のとおりである。

  第1条 韓国の司法及び監獄事務の完備したることを認むる時まで、韓国政府
       は、司法及び監獄事務を日本政府に委託すること。
  第2条 日本国政府は、一定の資格を有する日本人及び韓国人を、在韓国日
       本裁判所及び監獄の官吏に任用すること。
  第3条 在韓国日本裁判所は、協約又は法令に特別の規定あるものの外、韓
       国臣民に対しては韓国法規を適用すること。
  第4条 韓国地方官庁及び公吏は、各其の職務に応じ、司法及び監獄の事務
       に付き、在韓国日本当該官庁の指揮命令を受け、又は其の補助を為
       すこと。
  第5条 日本国政府は、韓国の司法及び監獄に関する一切の経費を負担する
       こと。

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               第17章 非法な司法制度

 朝鮮の司法制度は、大審院、控訴院、地方裁判所、区裁判所に分かれ、三審制を採用していた。全国を通じて、大審院1,控訴院3、地方裁判所8、区裁判所113を置いていた。併合後、日本は台湾で実施した制度を朝鮮でも実施し、大審院を高等法院に、控訴院を覆審法院に地方裁判所を地方法院と改称し、区裁判所を廃止し、その職務を地方法院と憲兵隊、警察署に移譲した。現在は高等法院1,覆審法院3、地方法院8、地方法院支庁55、出張所159ヵ所となっている。地方法院支庁は地方法院の事務を処理し、地方法院出張所は登記および公証事務を処理している。地方法院では、判事が1人で裁判を独行しているが、物価千円以上の民事および破産事件の訴訟と1年以上の懲役、禁錮などの刑事事件は、3人の判事が合議裁判を行っている。覆審法院は3人の判事、高等法院は5人の判事で組織し、合議裁判を行っている。朝鮮の旧制度では大審院は7人、控訴院は5人の判事で構成していたから、各2人を減員したことになる。地方法院での判事1人の単独裁判は、あきらかに違法の制度である。
いわんやおしなべて法律知識の浅薄な憲兵や警察官が司法裁判を乱用したのであるから、人民に害毒を与えたこと、これより甚だしいものはないであろう。
 裁判所の判事、検事局の検事は266人で、そのうち朝鮮人判事はわずか10人にすぎなかった。検事にいたっては、ただの1人もいなかった。書記と通訳生は、614人であったが、そのうち朝鮮人職員は約3分の1であった。朝鮮人判事の職務、権限は、被告が朝鮮人の場合に限定されていた。合議裁判では、つねに陪席に参与したにすぎなかった。
 ・・・以下略

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日韓議定書と日韓協約(第1次~第3次)全条文

2009年07月04日 | 国際・政治
 日露戦争開始のころから、日本が帝国主義列強を見習うかのように対韓国侵略政策を進め、植民地化していったことは、下記の日韓議定書や日韓協約の条文からも窺い知ることができる。そして、調印にいたる現実は、まさに国権の剥奪であり、暴力的支配であって、所謂「八紘一宇」などと正当化できるものではなかったことが分かる。「近現代のなかの日本と朝鮮」山田昭次・高崎宗時司・鄭章淵・趙景達(東京書籍)からの抜粋である。
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                  日韓議定書

 大日本帝国皇帝陛下の特命全権公使林権助及大韓帝国皇帝陛下の外部大臣臨時署理陸軍参将李址鎔(イジヨン)は各相当の委任を受け左の条款を協定す。

第1条 日韓両帝国間に恒久不易の親交を保持し東洋の平和を確立する為大韓
     帝国政府は大日本帝国政府を確信し施設(ママ)[政]の改善に関し其忠告 
     を容るる事。
第2条 大日本帝国政府は大韓帝国の皇室を確実なる親誼を以て安全康寧なら
     しむる事。
第3条 大日本帝国政府は大韓帝国の独立及領土保全を確実に保証する事。
第4条 第三国の侵害に依り若くは内乱の為め大韓帝国の皇室の安寧或は領土
     の保全に危険ある場合は大日本帝国政府は速に臨機必要の措置を取る
     べし。
     而して大韓帝国政府は右大日本帝国政府の行動を容易ならしむる為め
     十分便宜を与うる事。大日本帝国政府は前項の目的を達する為め軍略上
     必要の地点を臨機収用することを得る事。
第5条 両国政府は相互の承認を経ずして後来本協定の趣意に違反すべき協約
     を第三国との間に訂立する事を得ざる事。
第6条 本協約に関聯する未悉の細条は大日本帝国代表者と大韓帝国外部大
     臣との間に臨機協定する事。

                       明治37年2月23日
                            特命全権公使 林 権助 [印]  
                       光武8年2月23日
                            外部大臣臨時署理
                                 陸軍参将李址鎔 [印]
                    (『日本外交年表竝主要文書1840─1945』上)

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                    第1次日韓協約

一、韓国政府は日本政府の推薦する日本人1名を財務顧問として韓国政府に傭
   聘し財務に関する事項は総て其意見を詢い施行すべし。 
一、韓国政府は日本政府の推薦する外国人1名を外交顧問として外部に傭聘し外
   交に関する要務は総て其意見を詢い施行すべし。 
一、韓国政府は外国との条約締結其他重要なる外交案件即外国人に対する特権
   譲与若くは契約等の処理に関しては予め日本政府と協議すべし。

                       明治37年8月22日
                            特命全権公使 林 権 助 [印]
                       光武8年8月22日
                            外部大臣署理 尹 致 昊 [印]
                     (『日本外交年表竝主要文書1840─1945』上)

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              第2次日韓協約<乙巳(いっし)条約>

日本国政府及韓国政府は両帝国を結合する利害共通の主義を鞏固ならしめんことを欲し韓国の富強の実を認むる時に至る迄此目的を以て
左の条款を約定せり。

第1条 日本国政府は在東京外務省に由り今後韓国の外国に対する関係及事務
     を監理指揮すべく日本国の外交代表者及領事は外国に於ける韓国の臣
     民及利益を保護すべし。
第2条 日本国政府は韓国と他国との間に現存する条約の実行を全うするの任に
     当たり韓国政府は今後日本国政府の仲介に由らずして国際的性質を有
     する何等の条約若は約束をなさざることを約す。
第3条 日本国政府は其代表者として韓国皇帝陛下の闕下に1名の統監(レヂデ
     ントゼネラル)を置く。統監は専ら外交に関する事項を管理する為め京城 
     に駐在し親しく韓国皇帝陛下に内謁するの権利を有す。日本国政府は又
     韓国の各開港場及其他日本国政府の必要と認むる地に理事官(レヂデン
     ト)を置くの権利を有す。理事官は統監の指揮の下に従来在韓国日本領
     事に属したる一切の職権を執行しならびに本協約の条款を敢然に実行す
     る為め必要とすべき一切の事務を掌理すべし。
第4条 日本国と韓国との間に現存する条約及約束は本協約の条款に抵触せざ
     る限り総て其効力を継続するものとす。
第5条 日本国政府は韓国皇室の安寧と尊厳を維持することを保証す。

右証拠として下名は各本国政府より相当の委任を受け本協約に記名調印するものなり。  

                         明治38年11月17日
                            特命全権公使 林 権 助  [印]
                         光武9年11月17日
                            外部大臣    朴 斉 純  [印]
                     (『日本外交年表竝主要文書1840─1945』上)

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              第3次日韓協約<丁未(ていび)7条約>

日本国政府及韓国政府は速に韓国の富強を図り韓国民の幸福を増進せんとするの目的を以て左の条款を約定せり。

第1条 韓国政府は施政改善に関し統監の指導を受くること。
第2条 韓国政府の法令の制定及重要なる行政上の処分は予め統監の承認を経
     ること。
第3条 韓国の司法事務は普通行政事務と之を区別すること。
第4条 韓国高等官吏の任免は統監の同意を以て之を行うこと。
第5条 韓国政府は統監の推薦する日本人を韓国官吏に任命すること。
第6条 韓国政府は統監の同意なくして外国人を傭聘せざること。
第7条 明治37年8月22日調印日韓協約第1項は之を廃止すること。

右証拠として下名は各本国政府より相当の委任を受け本協約に記名調印するものなり。

                      明治40年7月24日
                             統監 侯爵 伊藤博文   (印)
                      光武11年7月24日
                        内閣総理大臣勲2等 李 完 用  (印)
                                             (同上)


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