真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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アフガニスタン紛争におけるアメリカの犯罪

2023年03月21日 | 国際・政治

 下記は、「民衆法廷の思想」前田朗(現代人文社)から「アフガニスタン国際民衆法廷開催に向けて」の文章の一部を抜萃したものですが、アメリカのアフガニスタン爆撃も、明らかにアメリカの覇権と利益のための爆撃であり、ベトナム戦争や湾岸戦争、イラク戦争と同じような戦争犯罪がくり返されたことが分かると思います。

 アメリカという国は、魅力的な文化がいろいろあり、魅力的な人が大勢おり、世界中の人たちを引き付ける魅力にあふれている思います。
 しかしながら、アメリカの政治、特に、その対外政策や外交政策に目を向けると、それを盲目的に賛美することはできないと思います。
 アメリカは、圧倒的な軍事力と経済力で西側諸国の頂点に立ち、野蛮で残虐な戦争を続けながら、世界中から利益を吸い上げ、そうした文化を発展させてきたと思うからです。
 アメリカが、圧倒的な軍事力と経済力を背景に、アメリカの覇権と利益のための政策を進め、受け入れない国には、制裁を課し、それでも受け入れない国には、容赦なく武力行使をしてきたことは、誰にも否定できない事実です。
 佐藤由美子氏によると、アメリカは、1776年の建国以来239年間のうち、222年間を戦争に費やしてきたということがそれを示していると思います。239年間で、戦争をしなかったのは、たったの17年ということなのです。

 だから私は、日本は、アメリカに追随すべきではないと思い、アメリカの戦争の野蛮性や残虐性、また、アメリカの対外政策や外交政策の違法性を指摘している文章を、さまざまな著書から引き、くり返し確認しています。
 そして、見逃してはならないのは、アメリカは、今、自らの国の覇権と利益が失われつつあることを受け入れることができず、中国やロシアを弱体化するための戦争をせざるを得ない状況に追い込まれていることです。だから、攻撃的なのはロシアや中国ではなく、アメリカであることを踏まえて対応する必要があると思います。

 今、西側諸国のロシア敵視もちろん中国敵視も、覇権が危うくなりつつあるアメリカの戦略に基づくものであることを踏まえる必要があると思うのです。
 バイデン政権は、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社バイトダンスにティックトックの売却を要求し、応じなければ、米国内での使用を禁止する方向で動いているようです。英政府は、職員が公用スマートフォンでティックトックを利用するのを禁じると発表し、米国やEU(欧州連合)でも同様の措置をとるということです。アメリカがやってきたことを、中国にはやらせないという理不尽な動きだ、と私は思います。

 しばらく前にアメリカは、中国のテック産業を代表する企業であるファーウェイ(華為技術)に制裁を課しました。アメリカの利益を損ねるので、ファーウェイ(華為技術)には儲けるチャンスを与えないという方針だったと思います。
 でも、そんなアメリカを見限り、中国に接近する国が増えているように思います。当然の流れだと思います。アメリカが敵対させていたともいえるスンニ派が大多数のサウジアラビアと、シーア派が主流のイランが、中国の仲介により、外交関係を正常化させることに合意したことも見逃すことができません。
 なぜなら、BRICS、すなわち、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の非米諸国の5カ国の側が、広い国土や多くの人口、石油を中心とする豊かな天然資源をもとに、ますます力をもってくることになるからです。
 アメリカの世界支配は終わりを迎えつつあるといえるように思います。
 でも、アメリカはそれを受け入れることができず、力によってその流れを止めようと、攻撃的になっているのだと思います。だから、アメリカに追随することは、危険だと思います。 

 自民党政権は、沖縄の人たちや地域住民の声をきちんと受け止めることなく、敵基地攻撃能力を含む南西諸島の要塞化を進めているようですが、愚かなことだと思います。アメリカの戦略に基づいて、中国を挑発するようなことはすべきではないと思います。
 ウクライナ戦争におけるロシアと同じように、成長途上にある中国が、今、それを台無しにするような戦争をするわけはないのです。戦争をしようとしているのは、アメリカだと思います。
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                     第2章 民衆法廷の実践

                二 アフガニスタン国際民衆法廷開催に向けて

 10 被告人はブッシュ
 ICTA実行委員会が2002年春に準備した「起訴状(草案)」は、ジョージ・ブッシュ米大統領を被告人としている。ブッシュ大統領は2001年10月7日に始まった「アフガニスタン空爆について、米軍に指揮・命令をし、ブレアや小泉に協力を要請して、現に空爆を実行させた。これは、次の犯罪の共同実行というべきである。ブレアや小泉も共同正犯ないし幇助であるが、単純明快にもっとも悪質な被告人を取り上げる趣旨から被告人はブッシュに限定しているが、ブレアや小泉の犯罪を見逃す趣旨ではない。
 第一に侵略の罪である。
 「9・11」に対してブッシュ大統領は「これはチャンスだ。これは戦争だ」と叫び、最初は「報復戦争」を唱えた。「報復戦争は許されない」と指摘されると、自衛戦争の論理を持ち出した。しかし、、国連憲章第51条の自衛権の要件を充たしていない。そこで最後には「テロリストを匿う国はテロリストと同じ」という身勝手な理屈で攻撃を開始した。国際法上の正当化理由のない空爆であり、国連憲章に違反する行為である。これはICC規程などが規定する「侵略の罪」にあたる。ニュルンベルク・東京裁判における「平和に対する罪」に対応する内容である。ICC規程は、1988年に採択2002年7月1日に発効したが、侵略の罪の定義がないため、当面は侵略の罪は適用されない。しかし、民衆法廷では、法廷自身が侵略の罪の定義を示すことで、これを適用していくことができる。不戦条約、ニュルンベルク・東京裁判、国連憲章、国連総会決議「侵略の定義」などを参考にして、ICTAの侵略の罪の定義を明らかにして、ブッシュを裁くのである。
 第二に、人道に対する罪である。
 2001年11月から2002年2月にかけて、米英軍の空爆によりアフガニスタンには大量の国内避難民が溢れた。パキスタンやイランが国境を封鎖したため、難民となることができない膨大な人々が国内避難民として極寒の大地を流亡した。国境の山々を越えた難民も流出した。大量の難民化を生みだしたことは、人道に対する罪としての迫害や、場合によってはジェノサイドの罪にあたる。
 第三に、民間人・民間施設攻撃の罪である。
 米英軍はタリバンを攻撃すると称していたが、実際はアフガニスタンの都市や農村において民間人・民間施設を攻撃した。「誤爆」という弁解は通用しない。民間住宅、学校、モスク(教会)に対する爆撃の証拠が多数ある。これは古典的な戦争犯罪である。「誤爆」の論理は、古くロシア・トルコ戦争におけるニコポル城攻略や日露戦争における旅順攻撃に際しても持ち出されたが、現在の米軍の「誤爆の論理」も所詮は同様の言い訳に過ぎない。一方で精密誘導兵器を誇りながら、湾岸戦争でも、ユーゴ攻撃でも、「誤爆」を繰り返いしてきた。アフガニスタンでも同じである。そして、民間人被害は「付随的損傷」と切り捨てた。実際は決して「誤爆」ではなく、意図的に民間住宅地への爆撃を行い、後になって「誤爆」と弁解していることが明らかである。
 2003年2月12日に至っても、米軍はアフガニスタン南部ヘルマンド州で民間人殺戮を続けている。これをメディアは「誤爆」と報道し続けている。また、デイジー・カッター、クラスター爆弾、バンカーバスターなどの大量破壊兵器を住宅地やその周辺に投下した。さらに、2002年暮になってようやく明らかになってきた「劣化ウラン弾(放射能爆弾)」の大量使用も戦争犯罪の疑いがある。
 第四に、捕虜虐殺と捕虜虐待である。
 マザリシャリフ近郊におけるタリバン捕虜虐殺は、EU会議で放映された映像でも衝撃を与えたという。キューバのグアンタナモ基地における捕虜虐待の証拠写真や映像も確認された。ジュネーブ条約に違反するとの国際的批判に対して、ブッシュ大統領は自身が「ジュネーブ条約の捕虜として扱わない」と無法行為を容認する発言を繰り返した。ジェイミー・ドーランの映像「死の護送」──アフガニスタンの虐殺」はその一端を明らかにした。
 ICTAはこれらの戦争犯罪の証拠を収集し、現代国際法に照てまぎれもなく戦争犯罪であることを立証していく運動である。

 

 


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