人が生きる世の中(サランサヌンセサン)
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「大地の子」③
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陸一心は北京鉄鋼公司に復帰することができましたが、現場ではなく図書室勤務でした。名誉回復はなかなか出来ず、図書室で日本語の勉強を始めます。
日中国交回復で、日本では本格的に満蒙開拓団の残留孤児探しが始まりました。一心の実の父、松本(仲代達也)は日中国交回復のプロジェクトの一環である製鉄所作りのメンバーになり、東洋製鉄上海事務所の所長として中国に赴任します。そこで自ら、子供探しを始めます。
一心は命の恩人、月梅と結婚します。月梅は巡回診療で、一心の妹あつこらしき人を見つけます。一心と松本は親子と知らずに、お互いの国の代表として対峙します。
一心は病床のあつこに会いに行きます。二人はおぼろげな記憶をたどり、兄、妹として感動の再会をします。病状の重いあつこは入院しますが、治る見込みのない患者として退院させられ、義母は慣習に従って危篤のあつこを土間に寝かせていました。一心は怒ります。36年ぶりにやっと出会えたあつこの死をみとります。
松本は娘あつこの居場所を探し出し、会いにいきますが、あつこはすでに亡くなっていました。そこで二人は初めて親子だと知り、一緒にあつこを弔います。一心も苦労したのですが、あつこはもっと苦労していました。売られた農家でこきつかわれ、寒村の貧農に嫁いで、からだを壊しても働き続けなければならない、残留孤児がこのように苦労したのは、悲惨な戦争があったからです。それにしても悲しい。あつこのシーンは本当につらい。
二人は親子ということを黙ったまま、仕事を続けます。日本への視察旅行中、悩んだ末に一心は松本の家を訪れます。仏壇の母の写真、妹あつこの遺髪とツメをみて泣き続ける一心でした。
松本の家を訪ねたために門限の時間に遅れ、大事な書類を元恋人の夫に盗まれ、又しても、スパイの疑いで職を解かれ、西蒙古の製鉄所に左遷されてしまいます。
そこにはかなり以前から左遷された所長が化石のようにいました。やる気のない工場で、質の悪い鉄を作っているのを見て、一心は仲間の工員たちと良質の鉄作りを始めます。そして良い鉄を作ることに成功します。自分の置かれた場所で落ち込んだり、恨んだりするのではなく、新しい道を見つけて進んで行く。なんて素晴らしい人なのでしょう。なんて強い人なのでしょう。「強い」というのは武器を持って戦うのではなく、困難なことを知恵を使って解決する力が「強い」ということを教えてもらいました。
スパイの疑いが晴れて上海に戻り、炉に火が入ってプロジェクトの最新鋭の製鉄所が完成しました。
松本は一心の育ての親、陸徳志に会いにいきます。二人の父はお互いを思いやります。松本が帰る時、陸徳志は日本語でさようならと挨拶します。松本は思わず涙があふれます。
陸徳志の薦めで、松本と一心は親子水いらずの船旅をします。
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