goo

韓国時代劇「チャン・ヨンシル」 (KBS 2016年 全24話)

 

 

 どこの国でもどの時代でも科学を探求し続ける人は崇高で美しいと思います。チャン・ヨンシルは民の生活がよくなるように1年、1日の「「気象」「時」を刻む時計の開発に生涯いそしんできました。天才とバカは紙一重だともいわれますが、一心不乱に研究し続ける姿は凡人には狂人のように写るかもしれません。
 常に陽は昇り陽は沈みます。夜空を眺め、星を探し、吹く風を感じるチャン・ヨンシル。凡人には当たり前の自然現象にも一定の法則があるとして、発明のヒントになります。風鈴の動きさえも。
 ドラマ「チャン・ヨンシル」全24話を見終えました。15世紀の朝鮮で民のための研究開発が権力・政治・外交・既得権益によって阻害されるのは現在の世界の状況と同じかなと思いました。
 科学の目を誰に向けるのか。科学にとって一番大切な倫理観です。
 
 
  チャン・ヨンシル KBS 2016年 全24話
 
 演出 キム・ヨンジョ
 脚本 イ・ミョンヒ マ・チャンジュン
 出演 ソン・イルグク キム・サンギョン イ・ジフン パク・ソニョン ソン・ビョンホ他
 
 「チャン・ヨンシル」は良質なドラマでした。朝鮮の偉人の生涯を描いた「ホジュン」と同じ一生探求し続ける姿には、胸が揺さぶられ感動します。ただ良いドラマなのに24話とコンパクトにまとめられたのは惜しいかなあと思います。
 CGを使った天体・図式・数式・設計図の説明は効果的でした。本来CGは機械的ですから人間(戦闘シーンなど)や景色には使わないでほしいと思います。
  世宗王役はなんといってもキム・サンギョンがぴったりです。優しくて賢い徳のある人格者です。
 チャン・ヨンシル役のソン・イルグク。「チュモン」とともに彼の代表作となるでしょう。朝鮮最高の科学者を演じたのですから、得した役柄でした。
 
 ドラマ終了後のナレーションから
 
 景福宮にはチャン・ヨンシルゆかりの場所があります。王の寝殿「康寧殿」(カンジョンジョン)の近くに位置しています。世宗は寝殿でも仕事に没頭していました。寝殿に隣接し世宗がよく訪れたのが欽敬閣(フムギョンカン)です。≪1438年天体観測所として建立≫
 天文観測所兼研究室にはチャン・ヨンシルが作った「玉漏」がありました。世宗はここで科学者たちと意見を交わしました。世宗とチャン・ヨンシルは民のために研究しました。星と太陽のメッセージを読み取り朝鮮の時間を見つけたのです。正確な時報装置を持つ「自撃漏」の完成は時計の歴史上重要な出来事の一つです。彼は民のために生きることの意義を身をもって示した人物です。
 
 『韓国の繁栄の礎となった科学技術の発展は突然のことではない。世界の「科学史技術史辞典」によれば15世紀に世界が成し遂げた科学技術の業績は80点。このうち朝鮮の業績は34点で中国と日本がそれぞれ5点。この3つの国を除いた残りの国の業績は36点だ。15世紀世界最高の科学技術国家は朝鮮だった。チャン・ヨンシルと多くの名もなき朝鮮の格物家(科学技術者)に科学時代劇「チャン・ヨンシル」を捧げる。』  終わり
 
 1999年にSBSで放送された科学を志す学生たちを描いた「カイスト」を観ていました。今思えば真摯に勉強し、苦悩する学生たちには朝鮮最高の科学者チャン・ヨンシルの血が綿々と受け継がれているのかもしれません。ただ「カイスト」では国の経済政策にもふれ、大企業だけでなく中小の科学技術者にも支援するべきだと訴えていましたね。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )