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中産階級ハーレム⑪ — 東京オリンピック

2017-07-24 20:15:30 | 中産階級ハーレム
1964(昭和39)年10月10日、19年前の原爆投下の日に広島県で生まれた坂井義則さんが聖火台に点火、昭和天皇が開会を宣して15日間の東京オリンピック大会が幕を開けた



陸上男子100m優勝のボブ・ヘイズ(米)、準決勝スタートの様子



マラソンは前回ローマ大会と同じくエチオピアのアベベ選手が独走し、史上初の2連覇。↑千駄ヶ谷の40キロ地点を通過する様子



アベベを追い力走する日本の円谷幸吉。競技場内で惜しくも抜かれ3位となったが、陸上唯一のメダル獲得。10000mでも6位。自衛隊体育学校の所属で、オリンピック後は思うような結果を残せず、68年メキシコ大会を前に自殺



女子バレーボールで優勝し、大松博文監督を胴上げして喜ぶ日本チーム。ほとんどが同監督率いるニチボウ貝塚に所属



重量挙げヘビー級に優勝したソ連のジャボチンスキー選手



個人総合馬術で優勝したイタリアのケッコリ選手



浜田「(吉本がダウンタウンのグッズか何かを売るとかで)俺らにもコレ(指を丸めて、お金を示す)入ってくるのん?」
 松本「!!……ホンマにお前はカネ!カネ!カネ!やなァ」

ガキの使いのトークで、以上のようなくだりを見たことがある。松本人志の「宇宙人のような発想」は、浜田雅功が現実主義というか、汚れ役に徹することで落差が際立つので、確かにお笑いについては松本は天才なのだろうが、それ以外については凡人に過ぎないことが近年露呈されてきた。

一芸に秀でることは、必ずしも全人格的な向上を意味しない。芸能界やスポーツ界で成功し有名になるためには大変な競争をくぐり抜けなければならないが、その他おおぜいの競争参加者、観客、興行やメディアの関係者、学校や病院や交通など公共インフラあってこそだ。

先日も元陸上選手の為末大が心ない発言で炎上していたが、無名なら炎上しないし、そも売名なのかも分らないが、彼の知名度は彼だけの手柄ではない。400mハードルは法大や順大など伝統的に強化されてきたし、国際陸連やテレビ局が盛んに権威づけしてくれる世界陸上が2年毎にやるようになったことも大きい。そして織田裕二の名セリフ、真似する山本くん—



「われわれがスポーツをやるときはスポーツの精神のために真剣になる。それは金では買えない」
「その代わり、あなた方はその他のものを金で買ってる。そのスポーツをやるヒマな時間をもね」と続く、萩尾望都さんの「マリーン」(1977年)にみるプロ/アマチュア論争。ここではテニスだ。ブルジョワの優雅なたしなみが、一般に広まって、人気スポーツとなる。早くからオープン化されプロスポーツとなっているテニスやゴルフをオリンピックでやる意味はあるのか。

53年前の東京大会では過去からのアマチュアリズムが適用される一方で、初採用されたバレーボールではソ連などの社会主義圏と日本が強く、それは国や企業が選手を丸抱えして「スポーツをやるヒマな時間」を保証してくれるから。厳密なアマチュアリズムとは言い難い。競技人口の少ないスポーツを強化し、メダルを獲って国威発揚に利用するのも、まるで戦争みたいだ。が、その後のオリンピックはもっぱらオープン化・肥大化にまい進し、ドーピングなどの勝利至上主義、途方もない資金が必要で大国しか開催できない政治ショー化と、弊害が露わになってきた。

競技場&エンブレムがケチの付き始め、リオ閉会式の間抜けなマリオ&共謀罪(政治利用)、ついには建設の過労自殺も。3年後の東京大会は、前回と対照的に、オリンピックの落日を各国の人びとに印象づけることになるでしょう—


※図版は朝日新聞社『'64東京オリンピック』より

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