マガジンひとり

自分なりの記録

IT社会と人のデフレ

2019-07-04 19:07:22 | メディア・芸能
真鍋昌平さんの短篇集『アガペー』表題作の、無名アイドルの「推し」を追いかける男たちのなかでも、「自分語りせず悩みを聞いてあげるだけでアイドル食いまくり」とうそぶく一見チャラそうな男が実は童貞で、ウソで固めて界隈で自慢したいだけ、本人も他の男もアイドルも誰も将来展望がなく幸せそうでない様子が印象的だった。

チャラそうなのに童貞っていう大学生を直接知ってまして。コミケに参加するコスプレイヤーたちは、風俗類似で、各人温度差はあるにせよオフパコ・セフレ・美容整形・パパ活・枕営業・メンヘラなど外見から想像されるとおりの男性経験を持っているでしょうが、女装コスプレ、あるいはツイッターだけで女装を披露している男子は、もっと温度差が大きく、男女問わずオフパコや売春類似行為を行っている者もいれば、肛門開発に至っていない者、アガペーの一見チャラ男のように現実はおくてで童貞という者も少なくない。

ツイッターで肌の露出のある女装を披露しているといっても、マスクなどで顔を隠し、化粧し、もちろん写りの良いものを選び、バカホアプリなどで加工したり。それでツイッターのフォロワー千~万単位とか、アマゾン欲しい物リストを公開して貢物を受けたりとかしてもしょせんバーチャル。ウソで固めているから、かえって素の対人関係に臆病になったり。でもチヤホヤされて自分の価値を錯覚し、せっかく大学を出ても、普通の会社勤めをバカバカしいと感じるようになってしまう。

面白いのは女装男の増加は東アジア各国で共通しており、韓国や中国はポルノや性産業への規制・蔑視が激しいこともあり、それに抗って女装活動している者は大胆で、日本人が「密かに淫紋タトゥーシールを貼って大学授業に出る」ところ中国人は実際タトゥーや局部ピアスを入れてゴツイヤクザの愛人として掘られる動画を上げたりする。しかし東アジアの若い女装カルチャーでは日本人風の名を名乗ったり日本のアニメ・ゲームキャラのコスプレをすることが当然のように共有されている。欲望の記号というか方向づけだけは先進国の面目🌈


子どもたちの元を離れる時、室内の冷蔵庫は空だった。リビングから玄関に向かう扉の外側から古い粘着テープを上下2カ所、水平に貼り直した。いつもどおり、南京錠も掛ける。子どもたちは外に出てはならない。だが、衰弱しきった子どもは外に出歩くことができるのか。そのように芽衣さん(仮名)が考えたとしたら、それは既に認知が大きく歪んでいるとしかいいようがない。それが「殺意」なのか。

これが、芽衣さんが生きている子どもたちの姿を見た最後だった。

法廷で争われたのはこの日、寮を去る芽衣さんに、殺意が認められるか否かであった。法廷で弁護士が尋ねる。
「6月9日に、二食分の食事をあげましたね?」
「戻らないとは全然考えていませんでした。2人はいつもみたいに私に手を振ってくれて、バイバイをしてくれました」
「それが最後になるとは、考えなかったのですか?」
そう、松原弁護士に尋ねられると、芽衣さんは静かに涙を流した。
「一般的には、食事を食べないと死んでしまうことはわかりますね」
芽衣さんは、うなずいた。

一方、検察官の質問には次のように答えている。
「(6月9日に)子どもがぐったりしているのを見て、そういうのが嫌で、部屋から逃げ出したのではないですか」
「ぐったりはしていませんでした。いつもと一緒でした。逃げ出したことは本当です」
裁判官には次のように答えた。
「(私のいたところから、子どもたちの部屋までは)戻れる距離なのに、どうして戻らなかったのか疑問です。でも、それは私にもわからないです」

逃げ出すのでなければ、誰かに助けを求めるしかない。芽衣さんが6月以降、助けを求めたのは男性たちだ。自分の容姿や性的な能力と引き換えだった。そして、その男性たちには、自分に子どもがいることは伝えなかった。子どもがいたら、自分を高く売ることはできない。

(中略)6月19日午後8時半からの日本対オランダ戦は、大阪心斎橋にあるスポーツバーで仲間と観戦している写真をSNS(ミクシィ)にアップしている。さらに、25日未明の決勝トーナメント進出を決めた対デンマーク戦、29日午後11時からのトーナメント1回戦・対パラグアイ戦について、仲間たちと日本チームの青いユニホームを着て、頬には日の丸に大和魂の文字を入れ、はしゃぐ姿の写真を載せた。

プチ国粋主義になれば、スポーツバーで知り合った人たちと簡単につながれる。 —(杉山春/ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件/ちくま新書2013)


前置きの女装男の件が長すぎましたが、ウソが常習化すると、周囲の人間から便利な人間として安く軽く扱われるようになる。女装・不倫・売春など、好都合なウソの部分でチヤホヤされ、不都合な本当の部分=出産・性病・借金など=はみな見ようとせず知れば逃げてゆく。誠実な者より悪人といる方が心地よく、悪循環にハマり、ウソと本当の乖離が激しくなる。9年前の大阪の事件の場合、この女性は30年の懲役が確定して服役中だが、ウソの部分を助長したたくさんの人たちも責任を感じていただきたいし、きみらも他人事やないで、ツイッターとバカホには本当に気を付けなはれ🥺
コメント