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旧作探訪#36 『ブギーナイツ』

2008-10-05 22:32:41 | 映画(レンタルその他)
Boogie Nights@レンタル、ポール・トーマス・アンダーソン監督(1997年アメリカ)
誰もがぴかぴかのプライドを持ち、誰もが夢を追い続けていた。輝くために、後ろを振り返らないために…。
1977年、ロサンジェルス郊外の街のナイトクラブで、ひとりの少年エディ・アダムス(マーク・ウォールバーグ)が、ポルノ映画監督ジャック・ホーナー(バート・レイノルズ)からスカウトされる。「ジーンズの股の間に宝が眠ってるぞ」。なんの取り柄もないと周囲から見られていたエディは、人並み外れた“巨根”の持ち主だったのである。
やがてダーク・ディグラーという芸名でポルノ映画界のスターとなった彼であったが、その業界には麻薬をはじめとする危険な誘惑が待ち受けており、そしてポルノ映画界そのものもホームビデオの普及によって存続の危機に瀕していた…。
撮影当時、若干26歳であったポール・トーマス・アンダーソン監督の出世作であり、その若さにして描き出した70~80年代はまさに当時そのもの。いかがわしい業界であるが、それでも“映画”の世界である。そこに見つけることのできる、人間の誇り、愛、情熱はどのようなものであったか。さらに色を添えるのは、エモーションズの「Best of My Love」やコモドアーズの「Machine Gun」といった、当時のちょっと安っぽいヒット曲の数々! マーク・ウォールバーグ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グラハムら俳優陣の好演も見逃せない。



みなちゃまはブルーレイ・ディスクの機械って買うつもりですか~ オラは予定してないですだ。というか、TVが地上波デジタルになったら、少なからずの人がTVそのものを見ないことになりそう。なくても困らないよん。TV。
媒体が入れ替わるときってたいへん。レコードからCDに替わる。カセットからMDに替わる。それらからiPodに替わる。そのたびに膨大な出費と手間を。まあ音楽でしたら我慢もしますが、映像なんて別にそれほどまでして手元に残しておきたくは…。子どもでもいると違うのかナ
しかしDVDとかブルーレイの登場と異なって、VHSとベータマックスが規格争いを繰り広げてホームビデオ装置が普及してきたときは、けっこう革命的だったような。自宅にいながらにして映画を見られる。そしてなんといっても普及に貢献したのはアダルトビデオの存在でっしゃろ。現れては消えていったAV女優の名前をいくらでも思い出すことができるだ。
でも男優の名前なんて加藤鷹くらいしかわかんねえ。普通、男は勃たないよ?スタッフとかいっぱいいる衆人環視の中では。頭の中の配線の1本や2本切れてないと、とても無理。そういう世界に、自分が輝ける夢を見つけた男の子の話。
そしてそこに、自分が映画を作ってゆく鉱脈を発見したポール・トーマス・アンダーソン。この作品のあと『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と撮っている。うちマグノリアを除く2本を見た。
今までなんとなく好きになれない監督であった。音楽ひとつ取ってみてもパンチドランク・ラブではデビッド・リンチ風なヌメッとした。ゼア・ウィル・ビー~ではオーケストラを用いた荘重な。ここでは当時のディスコで流れてたような。
作風がばらばら。どれが本当にやりたいことなんでしょ。なおかつどの作風においても基準を大きく超える秀作として評価されてるのね。体操の個人総合で優勝する選手みたい。失敗がない。
ゼア・ウィル・ビー~と、コーエン兄弟によるノーカントリーを同じ日に見て思ったのは、コーエン兄弟に比べて監督の主観が少ない。客観的に緻密に作られてはいるものの、監督の人間味みたいなものが出てなくて感情移入しづらい。とわいえ正確無比な仕事ぶりは、おそらくこれから歴史ものや文芸ものなどで達人の領域に入ってゆくのではないか。この映画も時代の波に翻弄されるポルノ映画界の興亡を描いて、ジャック・ホーナーが出資者から「これからは簡便なビデオの時代だ。作家性とかは必要ない。男が興奮できりゃいいんだ」と言われるシーンが。
そしてそのような世界で再起を果たそうとする主人公たちの最後のひと続きのくだりで、アンダーソン監督の映画に賭ける思いの強さを感じて心ゆさぶられたです。そのところの音楽ビーチ・ボーイズ「God Only Knows」、ELO「Livin' Thing」がすごくて、劇場で味わいたかったなあと。いや公開当時は存在さえ知らなかった。これからは見逃しませんとも。今はアメリカも経済状況が悪くて資金調達がたいへんと思うけど、辛抱強く進んでいただきたい。
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