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軍隊としての会社

2008-02-08 21:01:01 | マンガ
ああっっ……もうこの画像をご覧いただくだけで話が終わってしまいそうでっけど。
『闇金ウシジマくん』の最新10巻で、サラリーマン編の一方の主役・板橋に対して苛烈ないじめを行う品川課長。
この人相と表情をご覧あれ。あなたの周りにもこ~ゆ~顔つきの男がいませんか。立場が弱い者に対して喜々としてイジメを繰り返す、暴力をふるうことがうれしくてしょうがない、というタイプの顔である。
由利徹、中山秀征、ビートたけし、浜田幸一などの渾然一体となったような。昔の日本兵、の中でも初年兵をいびる古参兵あるいは下士官とかにも多そうな。
作者の真鍋昌平さんという人はサラリーマン経験あるのだろうか。サラリーマンに限らずとも作中を通り過ぎてゆくさまざまな登場人物の多くが、こ~ゆ~人相のやつはこ~ゆ~言動とるよなあ、と合点のいく怖ろしいほどのリアリティを持つ。
軍隊にせよ会社にせよ長期にわたって拘束され、上官・上司の命令であれば非人道的な行為も迷いなく実行できるようにならなければならない。
そのように一つの価値観に絶対的な忠誠を誓わせなければならない環境においては、オウム真理教の「魂のステージが上がる」あるいは相撲部屋の番付のように厳密な上下関係を設けて、上の者の暴力による支配を日常化させるとともに、下の者もいずれ上の立場に立てば今度は暴力をふるう立場に転ずる、という循環的なシステムが採られる場合がしばしば見られる。
かつてサラリーマン時代に中央大学のスキー部出身の若い社員が「体育会の1・2年生はエタです」と語っていたのを耳にしたことがあるが、まさに大学の体育会や応援団はそうした4年サイクルの循環システムをフルに機能させて、大学の名を高からしむるタフな人材の供給源となっているだろう。



先日のビルマの映画の中で、軍隊の「強姦許可証=ライセンス・トゥー・レイプ」という言葉に衝撃を受けた。民間人を強姦しても罪に問われない、ということで暴力を受ける側の人たちの心をじわじわと殺していくと同時に、兵士の間には一種の共犯意識というか連帯感が生まれて一石二鳥である。
おそらくどこの軍隊にも、あるいはずっと薄まっているにせよ会社にも、そうした男性の性暴力を正当化する側面が隠されているのかもしれない。
『闇金ウシジマくん』の風俗編にも、性風俗へ行ったことのない後輩社員にホテヘルを体験させるサラリーマンが描かれているが、『ナニワ金融道』の最後のエピソードにもちょっと悪い意味で強烈な存在感を残す、京大アメフト部出身のキャリア警察官僚が登場する。
京大のアメフト部員たちが集団レイプ事件を起こしたことがあったのをご記憶であろうか。マンガの登場人物ではないが、エリート街道の約束されている京大に合格するほどの頭脳の持ち主たちがなぜそれほど愚かな行為を…と思ったものであるが、こうしてあらためて考えてみると納得のいった次第である。ただでさえアメリカンフットボールは過剰なまでに男性性を賛美して男女の役割を固定化させる傾向の強いスポーツだと思いますし。サッカー<ラグビー<アメフトという感じでマッチョ感が増大。
ところで上記に引用させてもらった実名にはお笑い芸人の名が多いが、オラの父ちゃんも「故・三波伸介ってすごんだら恐そうだよなァ」と言っていた。あふれる笑顔で満点パパ!…でも恐い…お笑い芸人というのも上下関係が厳しく、立場によって待遇には天と地の差がある。
最近ですと恐い顔のお笑い芸人はなんと言っても土田晃之でっしゃろ。ヒゲなどたくわえてますます威圧系。ウシジマくんに描かれる「力のある不良は地元に残る」の“力のある不良”そのもの。

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