無意識日記
宇多田光 word:i_
 



「曲は何故始まるのだろう?」
「曲は何故終わるのだろう?」

音楽についての最も大きな疑問である。音が鳴った後にそれが連なり走り出す。意味がわからない。そしてそれは必ずどこかで途切れる。何を当たり前の事を、という感じだが、そう思っておくのが健康的だ。これについて悩み始めると総ては苦悩でしかなくなる。

似たような事を考える人は古今東西絶える事がなく。今もずっと"演奏中"な曲があるらしい。終わるのは何百年後なんだとか。よく知らないが、でもその曲にも終わりがあるんだ。

ジョン・ケージの「4:33」は余りにも有名だが、この曲にすらはじめと終わりがある。それも何だか不思議だ。寧ろ、はじめと終わりしかない曲であると言った方がいいかもしれない。その意味でこの曲は最もプリミティヴな音楽、ゼロの音楽とも言えそうだ。

0と1の間を結ぶただの線分をどこまでも伸ばす事が出来たら、と考えた瞬間に数学は始まったと言っていい。或いは、0、1、2、3、、、、の先はどこまでも続いていけるのではないか、という気づきが原初であったか。更に0から反対側に-1、-2、-3、、、と続けていけば。そこには確かに、『始まりも終わりもない』。

テイク5のエンディングがああいう感じでぶつ切りになったのは、つまりあの曲が『終わりのない音楽』だったからではないだろうか。あの心境に、あの境地に行き着いてしまったら、僕らが普段何気なくやっているように"音楽を止める"事が、出来なくなっていくのだとしたら…そこを救い出せるのは、くまちゃんの肌触りだけだったのかもしれない。

LIVEでも、テイク5は途切れない。というか、Prisoner Of Loveが時間をインターセプトしていく。テイク5は、危ないのだ。This Is The OneでいえばMe Mueroのように。或いは、銀河鉄道の夜のカムパネルラのように。そこを越してしまったらもう戻れない、音楽の終わらない世界に足を踏み入れていた。よくぞ戻ってこれたものだ。くまちゃんには感謝してもしきれない。彼が居るのなら、ヒカルはいつでも曲を終わらせる事が出来るし、いつでも歌い出す事が出来る。時が来たら、"いつのまにか口遊んで"いる事だろう。歌は、曲は、音楽はだから生命なのである。

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一昨日のツイートの威力は凄まじく、Keep Tryin'の再生回数はいつもの10倍に跳ね上がった。一躍UTUBE内の1日あたりの再生回数トップに躍り出た。あら一躍躍り出るって重複表現。

それだけみんな黒…いやまぁそっちの話はいいか。UTUBEの話そういや最近してなかったなぁ。データをとるのもすっかり忘れていた。ってUTUBEのレイアウトが変わっちゃってデータが取り難くなってヤんなって止めたんだっけかね。気がついたら全体の再生回数は8000万回を超えている。凄いな。

UTUBEの看板曲であるGoodbye Happinessは昨年の同じ時期と較べて約350万回上積みしている。やはり1日あたりほぼ10000回再生の水準で推移しているようだ。UTUBEのトップページに長らく君臨しているライブバージョンの方と合わせると既に1400万回再生されている。気が遠くなるような数字だな。

一年前、「First LoveがPrisoner Of Loveの再生回数を抜くのに一年は掛かる」と書いたが、未だに追いつく気配がない。これは誤算の上塗りとでもいおうか、兎に角PoLの人気が高いのである。先月TBSラジオで放送された爆笑問題の番組でのアーティスト別カラオケランキングでもPoLは上位に食い込んでいた。GBHの順位がさほどでもなかった点を考慮するとやはりPoLとGBHでは支持している層がかなり異なる模様だ。

GBHはPVとの一体型楽曲だといえる。Youtubeをはじめとした動画サイトの作り自体を作品の中に組み込んでいるという点、よりWeb寄りな層での支持率が高そうだ。PoLはドラマ主題歌というだけあってこちらは主にテレビをよく見る層だといえるか。カラオケに出掛けるのはどちらかというとテレビ好きの方だという事になる。Webに対してライトな層をメインにした人気でUTUBEでも未だにFirst Loveを上回る再生回数というのはちょっと脅威的だ。気がついたらもう4年以上前の楽曲だが、現在も1日あたり数千~一万回近い再生数。ヒカルの人気曲というのを超えて、今やPopsのスタンダード・ナンバーといえる位置に来ているのではないだろうか。

しかし、そういう"認識"が共有されているかといえば不明である。ここまで人気があるのに、その事実をファンは知っているのだろうか。UTUBEとカラオケの人気両方を併せるとFirst Loveの次にPrisoner Of Loveが来るのである。自覚のない大人気。いつかぶわわっと噴き出すタイミングが、あるんじゃないかな。それはそれで楽しみである。

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