ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

三陸復興観光商談会・かけはし交流会@原宿

2015年11月20日 | 町で見つけた食メモ

原宿のベニーレベニーレで開催の、三陸復興観光商談会に参加。冒頭、復興状況の現状についての説明があり、着実に進んでいる一方で人材や資材の不足、移転先や防潮堤建設の用地確保の難しさ、災害公営住宅の建設や鉄道復旧の遅れなど、諸問題も提言された。そんな中、主産業である水産業は9割の復旧を見せているとの明るい話題もあり、この店の食材にも多様されてるとのことだった。

そして料理は遠野出身の料理長・菊池シェフが腕を振るう。前菜のいわて旬野菜の盛り合わせは、そのまま食べられる新鮮野菜のオンパレード。糖度14度のキャベツ「あやめ雪」の窯焼きはじめ、イエローにんじんに大船渡のズッキーニと、土の力強さを感じる。フグにヤリイカにマダラのフライは、衣に海苔やカレーをあしらいひと工夫。海の幸のプレートも、マダラやムール貝など沿岸の幸があふれている。

肉料理は、岩泉の誇るいわて短角和牛の赤ワイン煮。赤身中心の肉が6時間煮込んだおかげて、ホロリと柔らかく口の中でほぐれるのが心地よい。締めの海鮮丼に海鮮朝粥も、宮古の地酒「千両男山」をしこたまいただいた締めには、嬉しい優しさだ。

会場には、両親が北上市出身というパンチ佐藤さんも応援に駆けつけ、抽選会のプレゼンターを務めるなど大活躍。観光の復興の息吹を、食に人にたっぷり感じられた宴、これからも旅行書にできることを、微力ながら力添えしていこうと心に感じた会だった。


旅で出会ったローカルごはん…富山 『西町大喜』の、富山ブラック

2015年11月19日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

飛騨路からの帰りの新幹線乗車前に、富山駅ビルのきときとプラザの「西町大喜」で、富山ブラック初体験の昼ごはんに。能書きには市街でいちばん古いラーメン店、かつ富山ブラックの元祖とあり、新幹線開業効果のおかげで駅ナカで味わえるのがありがたい。

出てきた丼はスープは深い濃茶、太麺もそれに染まりきり、カーキ色っぽく馴染んでいる。黒胡椒もたっぷり振られ、見るからに濃そうだ。具とともに全部よく混ぜ合わせて、との店の方の指示のもと、ザザッとやってひとすすり。すると何かの間違いでは、と舌を疑う激しょっぱさ、見た目の通りの味に個性以上に戸惑いを覚えてしまう。

富山ブラックの起源は戦後すぐの頃で、労働者の塩分補給のために醤油味を濃くしたラーメンを指す。現代人にはちときつい強めの味が、当時は体も求めたごちそうだったのだろう。デフォルトより茶味を帯びたメンマもチャーシューも、同レベルの味わい。料理が体に沁みるのではなく、体内の水分が逆に持っていかれるかのようだ。

しっかり混ぜ込んだからか舌が慣れてきたからか、中盤以降は割とすんなり進み、舌も体も黒の洗礼に染まりきってしまった。麺のコシがありメンマはシャキシャキ、チャーシューもしっとりホロリとよくできている。スープが残るのはやむなしで、飲み干すと塩分過多に、ライスを合わせて凌ぐと炭水化物過多になるのがたまにキズだが。


飛騨高山ワシントンホテルの朝食@高山

2015年11月19日 | 旅で出会った食メモ
飛騨高山の朝は、朴葉味噌が焼ける香りから始まる。駅前の飛騨高山ワシントンホテルプラザの宿泊プラン、普通の和朝食にこの一品が加わるだけで、ぐっと旅感が盛り上がる。

最近、全国のビジネスホテルで、これが広まっている。名古屋で味噌おでん、帯広で豚丼、社用の宿泊に潤いが出ていいことだ。

旅で出会ったローカルごはん…高山 『麺やしらかわ』の、中華そば

2015年11月18日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
高山・居酒屋こがねの、ローカル料理での宴のあとは、店を出てから地元の方がぜひ! と推すラーメン屋で、飲み後を締めることに。国分寺通りの「麺屋しらかわ」は、創業4年の新しい店。夜が早い高山にあって23時ごろまでやっており、遅い時間でもお客の出入りが絶えない。

高山は古くからのラーメン処で、市街には150軒もの店があり、それぞれの味を競っている。醤油味のあっさり薄味スープに細麺が特徴らしく、ここのも極細の縮れ麺に魚介ダシ系の分厚いスープが絡み、懐かしい旨さに感嘆してしまう。

最近は高山ラーメンなどと、ご当地ラーメンにカテゴライズされることもあるが、ご主人いわく「うちが目指すのは、ラーメンじゃなく中華そば」確かに高山の飲食店、「食堂」とか「中華そば」とかの言葉が、よく似合う鄙び加減な気がする。

旅で出会ったローカルごはん…高山 『居酒屋こがね』の、あげづけと漬物ステーキ

2015年11月18日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
高山・朝日町の居酒屋こがねでの飛騨の宴は、富山湾の魚介に飛騨牛と進んでいく。旅のハレ的な料理もいいが、むかし町だけに土地に根付いた味覚も楽しみたいところ。この店を選んだ地元の方は、ブリも飛騨牛も贅沢品で滅多に食べない、とおっしゃるから、この後出てくる常食のアテに期待したいところだ。

まず続いたあげづけは、食感がパリッ、中がしっとりとして、なんとも懐かしい味が付いている。豆腐のような大豆っぽいような、と思ったら、名の通り油揚げを秘伝のタレにつけたもので、軽く炙るのが地元流だそう。高山の豆腐店「古川屋」が製造、界隈のスーパーなどで扱われており、まさに飛騨地方の家庭の味だ。最近、大柄な女装家の方の情報番組で紹介されたところ、人気が爆発。一時は入手困難になったそうだから、テレビの力は凄まじい。

飛騨は山がちな土地柄のため、古くから地元でとれる産物に限りがある。地場産の食材に加工品が多彩なのは、そのためだという。保存に重きを置いた食材も多く、収穫物の少ない冬場に備えているともいえる。「でも、同じ食材が続くとさすがに飽きるので、手っ取り早く変化をつけるのが焼くこと。朴葉味噌にさっきのあげづけもですけど、飛騨地方は焼いたり炙ったりする料理が多いんです」

その最たるものです、と出てきたのは、案内の方が一押しするステーキ。飛騨牛でも地鶏でもない、なんと漬物のステーキである。白菜の切り漬けやカブの漬物のスライスを、サッと炒めて花カツオをかけただけ。シンプルながらこれが滅法うまく、熱を加えたため乳酸の旨みが活性化。卵でとじたため酸味が丸くなり、飯の友にも地酒「山車」の友にも箸が止まらない。

簡単に調理できるので朝食のおかず向きだそうで、ごはんと炒めてキムチチャーハン風にしても旨そうだ。これも保存食の応用でもあるし、保存し過ぎて長く漬かり過ぎた漬物を利用する、無駄のない料理でもあります、と案内の方。「とりあえず焼いとけ、が飛騨の食文化ですかね」と笑う。ステーキといえば飛騨牛もいいけれど、漬物の方で当地の食文化の真髄に触れてこそ、素顔の飛騨を訪ねる旅なのかも知れない。