ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

Japanese dining 煌@白浜温泉

2016年12月16日 | 旅で出会った食メモ
和歌山のメーカー巡りは白浜温泉に宿泊、夜は温泉街の柳橋通り商店街にある「Japanese dining 煌(きら)」で、スタッフミーティングを兼ねた食事となった。

最初の鍋が圧巻で、肉は黒豚、イノシシ、鶏に車エビにサケにカキと、実に豪華な寄せ鍋。イノシシは県では害獣のため駆除して食材にされることが増えており、まさにジビエ推しの県なのだとか。鶏は飼料に梅酢を配合した「紀州うめどり」で、柔らかく身の味が濃く、つみれもうまい。塩漬けした梅酢は肉の保水性を上げるそうで、モチモチした食味が特徴という。

つくりも沿岸や熊野灘の魚介のオンパレードで、クエにコロダイ、スマガツオ、アオリイカなどが大船に盛られて出された。スマガツオは県で養殖している種で、小柄ながら全身が中トロ。味がクロマグロに近いことから、近似の魚として注目されている。クエは和歌山の冬の高級魚で、体長1メートルほどになり大物は30キロを超えるとも。鍋の素材として知られており、つくりでいただくのは意表を突かれた。歯応えはシャキシャキ、味はあっさりしており、ほのかな甘みが上品である。

フォアグラの蒸し物、焼き胡麻豆腐のカラスミ添えなどといった、小鉢系もなかなか贅沢で、ナギサビールから地酒への杯も進む。白浜の晩で気勢を上げ、後のメーカー巡り取材も頑張っていきましょう。

十河@白浜温泉

2016年12月16日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
和歌山のメーカー巡り、白浜温泉の宿「十河」は、素泊まり6000円の温泉宿。部屋は値段相応のコンパクトさで、無色透明の湯はあたりが柔らか。近隣が飲食店街のため、名物のクエやスマガツオなどの魚介料理の店も。お手軽値段で温泉を楽しむにはオススメである。

脚力があれば、太平洋を望め露天風呂「崎の湯」へも20分ほどだ。

和歌山セレクションてくてくさんぽ3

2016年12月16日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山のメーカー巡り、湯浅醤油の「角長」は、天保12年の創業以来、昔と変わらぬ製法で醤油作りを続けている。杉樽が並ぶ仕込み蔵には、年季のある太い梁が渡されるなど、まさに当時のままの佇まい。酵母は蔵についており、醤油の味は蔵の環境が決めるのだとか。火入れした「紫滴」、生醤油の「濁り醤」とも、そのままご飯にかけて味わえるほど厚みと香りが高く、和みある舌へのあたりがいい。

「自分らが作っているのではない。酵母の仕事を手伝っているのです」との言葉、職人の謙虚さかつ誠実さが、歴史ある蔵の醸す味により、深みを出しているように思える。

和歌山セレクションてくてくさんぽ2

2016年12月16日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山のメーカー巡り、続く「笹一」はアセ葉寿司の店。アセは和歌山が起源である寿司の原型・なれずし(保存性を考慮して発酵させた寿司)に使われる、殺菌効果の高い葉で、ここでは早ずし(酢で締めてできてすぐ食べられる寿司)に取り入れられているのが興味深い

アセの葉は剥きやすさを考慮して巻き方にこだわっており、さっと剥けて手を汚さず食べられる配慮が。芯に梅を入れた酢飯が下支えとなり、鯛やエビなど淡白なタネは引き立て、サバやサンマなど脂ののっているタネは軽く食べやすくしている。そこにアセの抜ける爽快さが加わり、見事にとりまとまった旨さだ。

いわば新旧の寿司文化が相乗した、いいとこどりの逸品。和歌山の寿司は、まだまだ先へ歩みを進めている。

和歌山セレクションてくてくさんぽ1

2016年12月16日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山のメーカー巡り、最初の田端酒造さんは「羅生門」という銘柄が看板商品。純米大吟醸の「龍壽」は精米度合が驚異の39パーセントで、研ぎ終えた酒造米が小粒に見えるほど。それだけにキレは鋭く、ほのかにフルーティな中、ビッと鋭角的な芯が際立っている。

魚介を引き立てそうな、魚どころらしい酒である。