ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

カレーヤ食堂のバラホル@和歌山市

2016年12月17日 | 旅で出会った食メモ
和歌山オプショナルステージの最初の食事は、ホテルの目の前にある素敵な佇まいの大衆洋食屋へ。「カレーヤ食堂」ながら名物はカレーじゃなく、バラホル。タレで肉を炒めたもので、その名ながら肉はホルモンでなく、ホルモン焼き用のタレでバラ肉を炒めたことからのネーミングとか。いちいちずれているのが、何だかおかしい。

しかしこれが、飯が進むことといったら。甘ったるいタレが、薄いながらドカ盛りのバラ肉にベストマッチで、肉をガツガツ、飯をワシワシのエンドレスループにはまる。和歌山では知られたB球グルメの店らしく、店頭には幟まで掲げられていた。愛想はないながら親切なおばちゃんもまた、いい味出してる。

単品で480円の値段も感涙もので、嬉しさのあまりメンチでなくミンチカツも追加。郷土所以の食や正統派産品や地魚が続くと、こういうの無性に食べたくなるものだ。

和歌山セレクションてくてくさんぽ5

2016年12月17日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山のメーカー巡り、勝浦からはまたはるばる戻り、梅のふるさと南部(みなべ)へ。梅干しの「トノハタ」が、最後の取材先である。こちらの看板商品の「なちゅれ」は、梅とシソと水のみで漬けた、昔ながらの梅干し。5Lサイズ・Aランクの大型で良質の梅と、愛知産のシソを、9パーセントの塩分で漬けてある。梅は近隣の南部と岩代の農家が、収穫後塩漬けにして干した状態でここへ持ち込み、この塩分20パーセントの「白干し」を塩抜き、洗浄、漬け込んで出来上がりとなる。試食すると酸味が厚く、思わず口元がキュッとするほど。シソがたっぷりなのも特徴で、シソも一緒に食べてもらう梅干しです、と工場の方。

もうひとつの「アイス梅」は、冷凍して食べる珍しい梅干し。家庭の冷凍庫でシャリシャリの食感になるような工夫がなされており、一粒いけばまさに梅アイスのごとし頭に爽快に抜ける酸味がいい。塩分抑えめで甘みを生かしているのは、子供におやつ代わりに食べてもらいたいからだとか。梅にはクエン酸が多く含まれており、暑い中の疲労回復にも良さそうだ。

和歌山セレクションてくてくさんぽ4

2016年12月17日 | てくてくさんぽ・取材紀行
和歌山のメーカー巡り、はるばるやってきた紀伊勝浦では、マグロ加工の「ヤマサ脇口水産」にお邪魔した。勝浦ほか太平洋岸で時期ごとの質のよいマグロを用い、安全で体によい品をコンセプトにマグロ加工品を提供している。

いわく、勝浦のマグロはすべて釣りによるもので、巻網のように資源を一網打尽にしないため、環境に優しいのだそうだ。ここではそれを看板に掲げており、値段や質を超えた付加価値を出しているという。数十キロの小さいままとってしまうより、数年回遊して100キロ超になったほうが、キロあたりの魚価が上がり漁業者も流通業者と加工業者いずれもメリットがある。ご主人はそうした点も見据え、マグロの供給に取り組んでいる。

看板商品の一つ・モチビンチョウは、深海の瀬付きのビンチョウマグロで、冷水や水圧など厳しい環境に耐えた分、身が締まりモチモチしている。おろしたさくは普通のビンチョウがほのかな桜色なのに対し、鮮やかな紅色。包丁で軽く引くとピッタリ張り付くほど粘りがあり、名の通りのモチモチさが伺える。もうひとつの「海の生ハム」は、カジキマグロを生ハムに加工したもの。味付けは塩のみ、カジキの素の味で勝負という、天然の旨さが売りだ。

試食すると、モチビンチョウの握りは口腔に張り付く粘りが、ねっとりとほどけながら丸みある甘味が広がる。生ハムは肉厚で、香ばしい薫製香のあとにしっとり淡い旨味がたまらない。海や水産資源との連携、漁業の将来展望、旨さの向こうにそうしたメーカーの思いが、垣間見られたような気がする。