ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはん75…東京ディズニーランド 『クリスタルパレスレストラン』の、バイキング

2006年12月08日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 家族全員が平日の同じ日にうまく休みが合い、どこかへ皆で遊びに行こう、という時、行き先の筆頭に上がるのが東京ディズニーランドだ。ディズニーランドといえば仕事柄、ガイドブックや雑誌の誌面に掲載する際に、先方の広報担当からのチェックや注文が細かいことが印象的。版権にうるさいネズミとかアヒルとか熊に対する対応が大変で… とか、日頃仕事でお世話になっているのにそんなこと書いちゃいけないか? ひとたびゲートをくぐると、そこは俗世と隔絶された夢の世界、という徹底した演出はさすがだが、食事に関してはあまり「らしい」特徴がないように思えてしまう。食べ物や飲み物の持込みが禁止されているため、パーク内の飲食店を使うほかないのだが、値段は全体的に割高、しかもおとぎの国に不似合いだからか、園内ではアルコール類が一切扱われていない。実はこのことを知らずに、一度クーラーボックスにドリンクのペットボトルや缶ビールを入れて持ち込み、園内のベンチで平気で飲んでいたことがある。特に注意されたりしなかったが、例のネズミの着ぐるみに見つかったりしたら血相変えて飛んできて、缶ビールをぐっとやっている自分を指差してオーバーアクションで両手を×、×、なんてされたりしたのだろうか。

 そんなこんなで11月の連休前のとある日、子供の休日登校の振り替えや家内の仕事が休めたりして、空いたディズニーに行くにはもってこいの日に、自分も仕事の空きができた。自宅から東京ディズニーリゾートまでは、家からすぐ近くにある高速湾岸線のインターにのってしまえば、ものの30分ちょっとと結構近い。10時ちょっと前に到着すると、まだ行列10分待ち程度のアトラクションも見かけたり、あらかじめ乗車時間を予約できるチケット「ファストパス」もいくつか入手できるなど、空いているおかげで大して行列することなく、様々なアトラクションをこなしていく。カリブの海賊、ウエスタンリバー鉄道、スプラッシュマウンテンを乗車したところでお昼前となり、昼食はもちろん、夕食をどうするかをそろそろ手を打たなければならない。

 ディズニーランドで食事をする際には、なるべくショーが行われるレストランを狙うようにしている。値段が高い分、そうした付加価値があればまあいいか、と納得できるからである。本来なら入園したらすぐに、ショーが行われるレストランも予約するところを、この日はいろいろなアトラクションにあまりに順調に乗れてしまったため、レストランの予約が後回しになってしまった。狙っていた「ポリネシアンテラスレストラン」のミッキー&ミニーのショーは、お昼前に行ってみるともう本日分はすべて予約終了。ダメモトで、ウエスタンランドの「スルーフットスーのダイヤモンドホースレビュー」へも足を運んでみると、最終回の20時40 分からなら空きがあるという。コメディーやアクション、ダンスといった本格的なショーが楽しめるとあり、パーク内でNO.1の人気だけにこれはラッキー、と言いたいところだが、こんなに遅い時間では子供たちは1日遊んで疲れ果てているだろう。

 結局16時からの回のキャンセル待ちを申し込み、昼食はファーストフードスタンドでチュロスやピタサンドを軽く頂いてから、午後はトゥーンタウンやトゥモローランドをさらに精力的に乗り歩いた。そして期待しながら、16時にレストランへと引き返してみたが、あいにく自分たちまでまわって来ず仕舞い。お目当てのアトラクションはほぼ乗れたし、予定では、19時頃からのエレクトリカルパレードを見物して帰るつもりだから、この日はショー&ディナーはあきらめ、ちょっと早いけれどどこかのレストランで夕食を済ませることにしよう。園内のパンフレットを眺めながら検討した結果、席数が多いから空いてそうだ、と、パーク内屈指の規模を誇る『クリスタルパレスレストラン』へと向かった。まるで宮殿のようなガラス張りのドームのような外観は、19世紀ビクトリア時代のデザイン。豪華な外観とは対照的に、中は手軽なバイキングスタイルのレストランだ。パーク内の飲食店は値段がやや高め、と冒頭に記したが、入口に掲げられたメニューによるとここの一人前の料金は、ホテルのバイキングやフードコートにあるバイキングレストランとさほど変わらない。ショーがなくても納得できるぐらいの額である。

 大きな窓ガラスのそばの席へと通されたらさっそく、料理が並ぶコーナーをぶらりと一巡する。世界各国の様々な料理をブッフェスタイルで頂けるとあり、空いている日だから品数がちょっと少なめなのにも関わらず、ざっと数えても30種ほど並んでいる。カレーやスパゲッティーといった麺・ごはん物、フライや煮込み料理、肉や魚料理の主菜類、さらにスープにフルーツやサラダ、デザートも充実。これらと別に、子供向けの料理を集めたコーナーがあるのはさすがで、子供が好きそうでかつ辛くない料理を揃えている。

 ちなみに自分がこの日頂いた料理を列挙すると、スパニッシュオムレツ、メカジキの香草パン粉焼き、カネロニのミートグラタン、ロールキャベツ、リヨネーズポテト、仔牛とポークのハンバーグ、フランクステーキ和風ソース、シーフードマリネ、スモークサーモンとアボガドのピュレetc。やや重めの洋食なのにどれも軽く仕上がっていて、結構スイスイとお代わりに手が出てしまう。締めに頂いたのがイクラたっぷりのちらし寿司と和風で、各国料理のブッフェならではか。面白いのが、取り皿が例のネズミの顔を模した、3つの丸の組み合わせなこと(上の写真を参照)。実はこれは子供用で、後で普通の皿もあったことを知ったけれど、いっぱい盛れるので最後までこれを使わせていただいた。デザートでとったケーキにも、この丸三つの焼印が押されているのも楽しい。

 このレストラン、ショーこそ行われないけれど、料理のレベルのみで評価すれば、コストパフォーマンスはパーク内のレストランで一番ではないだろうか。加えてあの手の料理なら、やっぱりビールが欲しく… とは、おとぎの国にいる以上はまあ、言うまい。結局小1時間ほどゆっくりと食事をして、レストランを出る頃にはあたりは真っ暗。パレードのコースの沿道には、すでに場所取りをしている人の姿も見られる。大して混雑に巻き込まれることなく1日ゆったり遊べ、予約が危うかった食事にも大満足。締めくくりのパレードを無事、見物し終われば、残る懸念は子供(妻も?)のおみやげおねだり攻勢だけか?(2006年11月1日食記)