耳の奥で
きいきいと響く
思い出の軋む音
床板を踏む音
錆びた蝶番の音に 似ている
古びた幻聴を聴いている
髪をひっつかんで
仔犬のように争った日や
机の中を見ることに
大きな勇気が要った日
決して鮮やかになれない日々の積もりを
憎むこともできず 忘却した
洞穴は鼻の奥で
苦い水を吸い込み続けている
今は単に
色の盲いた我が世の中で
足から解けながら暮らしている
貝をあてたような
耳に砂の混じる音
はだしの皮膚はいつまで経っても
薄く痛く壊れない
水でできた砂漠を見上げ
すでに場所のないことを 知る
木製の校舎は見えない
砂漠だけがただ見える
破れた白い皮から
封じこめていた今が滴っていく
過去の流砂は耳から脳へ
頭蓋の裏側に溜るふじつぼたち
縁側で眠るのは 愛せなかった
自らの保護者
おやすみなさい
さようなら
軋む音が響く
床板、関節、砂漠、天井、
こころ
きいきいと響く
思い出の軋む音
床板を踏む音
錆びた蝶番の音に 似ている
古びた幻聴を聴いている
髪をひっつかんで
仔犬のように争った日や
机の中を見ることに
大きな勇気が要った日
決して鮮やかになれない日々の積もりを
憎むこともできず 忘却した
洞穴は鼻の奥で
苦い水を吸い込み続けている
今は単に
色の盲いた我が世の中で
足から解けながら暮らしている
貝をあてたような
耳に砂の混じる音
はだしの皮膚はいつまで経っても
薄く痛く壊れない
水でできた砂漠を見上げ
すでに場所のないことを 知る
木製の校舎は見えない
砂漠だけがただ見える
破れた白い皮から
封じこめていた今が滴っていく
過去の流砂は耳から脳へ
頭蓋の裏側に溜るふじつぼたち
縁側で眠るのは 愛せなかった
自らの保護者
おやすみなさい
さようなら
軋む音が響く
床板、関節、砂漠、天井、
こころ
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