暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

善人は笑わない

2013-01-24 | かなしい
角も牙もなくなってしまえば
おまえは善き人でいられたのだ
何が悪いと言うならば
それを持って生まれたことと
それを持たせた神が悪い
おまえもわたしも誰もみな
あればあるだけ堕落するのは当然のこと
捨てることは容易くない
わたしもよくよく知っている

おまえはとても優しいのだね
だけれどそれは恥ずかしいことだ
だからおまえの靴の下で
いろんな虫がいたとして
ちっとも恥ずべきことはない
虫は虫で人は人
おまえはおまえでわたしはわたし
仕方のない
仕方のないことなのだ
おまえに足がある以上は

もっともっと強くあろう
おまえが穏やかでいられるように
わたしはとうに諦めたが
おまえはきっと捨てられる
そのためにもっともっと強くあろう
善き人は弱くてはいけないのだから

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