暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

血族

2016-11-03 | -2016,2017
他人の立場になってものを考えなさい
同じ口で殺人鬼への暴言はやまず
愚かな者への差別をやめず
無自覚な嘲りで踏みにじる

心の優しい子に育てと
言うそばで激昂する両親

言ってしまえばいいのだ
他人とはすなわちおのれのことだと

わたしの立場になりなさい
わたしの気持ちを理解しなさい
わたしの望みを慮り
わたしを快くさせなさい

わたしはわたしの物差しだけれど
あなたの物差しとは違うから
わたしの物差しを使いなさい
「他人の立場になって」
あなたはわたしの他人なのだから
「ものを考えなさい」

優しい子供よ
理解する時は来なくていい

殺人鬼の気持ちなど
理解しなくともかまわない

利己的に利己的に生きるがいい
圧倒的大多数に埋もれ
本音を隠すための格言をふりかざし
強者を貶め弱者を蹂躙するために

「あなたは優しい子なのだから」
(わたしを愛しているのだから)
「ひとの気持ちもわかっているでしょう」
(わたしの気持ちもわかるでしょう)

「他人の立場になって」
(わたしを苛立たせないで)
「ものを考えなさい」
(わたしの物差しだけ使いなさい)

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