暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

けれど救いはないのだろう

2008-07-07 | 錯乱
ぐねぐねとうねる産道をとおり
ぼくわたしきみはちいさく呼吸した
泣き叫び息を吸って吐いて吸って吐いた
あのちいさな赤子は悪意を吸った
水は人を生かすがヘドロにもなる
きれいなままのからだが溶けていった
それからだらだらと脳が流れた
何がわるかったわけでもない世界で
ただ生きればいい話だ
今日も星空が見えない

しなる鞭のように生きたいと
ぼくわたしきみは笑う中学生
校門でさよならをした日のままで
もうそだつことはないのだね
ちいさくちいさく呼吸をしよう
弁がふるえ泣き叫べばいいと
はばたいてそれから失敗した
チューブと点滴と酸素マスクの虜
その内臓はあと一年で期限が切れる

残酷だと嘆くことを嘆いた
自覚は何より残酷でおろか
無自覚なんて殺したくはなる
それでもなんて罪のない
知らない間に影響し影響されて
分散されたままゆきばのないいばらが絡んだ
それらは互いがいることで守る
自分から他人から自分を他人を
水は知らぬ間に取り込まれ腐る
悪臭を放つヘドロのなかで
ぼくわたしきみはちいさく呼吸をした

くちが破滅をかたどった
し、に、た、く、な、い

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (891)
2008-07-11 09:10:49
心が泣きました
さめざめと泣きました

悲しいあなた達に
涙ながし
濡れて
痒みを
かきむしる

腕に深く深く
えぐった痕に
もう一度涙を溜めます
返信する
Unknown (鶏卵)
2008-07-12 13:03:38
破滅的なことばには
どうか救いをと心から願い
涙は渇くより湧けばいいと願い
けれどやはり救いはないのだろう
返信する

コメントを投稿