傀儡の館

故郷で

私は望みを絶たれ

疎開地で

私は心を折られ

戦場で

私は権利を喪った

しかし私はいまだに

人間として生きていた

故郷に戻り

部屋の天井を見上げる日々は

まるで死人の心地だ

何もかもが喪われた

それなのに私はなぜ

生きていられるのだろうか

私を見た人々は皆言う

生きて戻れたことに感謝しなければねと

ならば代わってみるがいい

生きているなら皆同じ

ならば望みを絶ち

ならば心を折り

そして権利も喪うがいい

ここにいるのは傀儡だ

産まれた瞬間に殺され

幼少期に長い年月をかけて葬られ

少年期に墓を汚され

今に掘り起こされた屍

それが私だ

蝋人形は見飽きたのだ

なぜ眠らせてはくれないのか

瞼を閉じた瞬間に思い描く

すべてのあの時こそが私の死であったのだ

と